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2009年3月

  • ソースの香りに誘われていざ行かん!タウトク4月号 tokushima-tautoku0904★徳島お好み焼巡礼88ヵ所の旅★
    電話帳を開けて徳島県のお好み焼店を数えてみたら、その数なんと300件近く!1世帯あたりのソースの年間消費量が全国でもトップクラスだというウワサも聞いたことがあるような。今回のタウトクでは常に満席の人気店から、変わらぬ味で長年愛され続ける老舗まで88店のお好み焼店をご紹介!焼けたソースの香ばしい匂い、コテと鉄板が奏でるメロディ、湯気を挟んで繰り広げる軽快なトーク…。くぅー!お好み焼が食べたくなってきたー!タウトク4月号を読めば、あなたの「お好み」の1枚がきっと見つかるはずです。

  • 熱砂に汗がしゅみこむのだ サハラマラソン参戦30日前「全装備」
    文=坂東良晃(タウトク編集人)

     さてと、ぼちぼち旅支度である。サハラ旅に必要なすべての道具を押し入れから引っ張り出し、床いっぱいに広げてみる。小さなバックパックにこんだけの物が詰め込めるとはまさに魔法。荷物の真ん中に寝っころぶ。実際に使うか使わないかはさておき、イザって時に生命を救ってくれるモノどもに囲まれると、癒しのエーテルの海に漂う心境。
    児童文学「エルマーのぼうけん」導入部に登場する挿絵・・・エルマー少年がキスリングザックにいろんな荷物を詰め込んでいく場面は永遠のマイ・フェイバリット・シーンであるが、誰にも内緒で極秘に冒険の旅の計画を思いついてしまった少年のように無言で興奮している。天井を見つめて瞑想する。70年代、二十代半ばでサハラ砂漠横断7000キロを試みマリで渇死した青年冒険家・上温湯隆が、ほとばしる全情熱を焼きつけた砂の聖地への入城は目の前なんだよね。20年ぶりのバック・トゥ・ジ・アフリカは、ニーチェの提唱する永劫回帰を実践する旅なのかもね。遠くまでいくことは回帰することだと老子先生は説いたよね。人生は転がる石のようだねライク・ア・ローリンストーン。
     少し我に返ろう。以下はこの半年でコツコツと集めたサハラマラソン全装備だ。こんな情報が誰の役に立つというのか。誰の役にも立たない。メディアは消費者に役立つ情報ばかりを提供しすぎなのだ。少しはウンコちゃんのような無益な情報を出しやがれ。ぼくのクソ情報はインターネットより遅く、世界を網羅することもなく、地球のどこかの裸電球かがやく四畳半一間に届く。そして、情熱の吹き出し口が見つからず爆発寸前になっている若者の心に、静かに火の粉をふりかけるのだ。引火して、発火して、爆発しやがれ、である。

    【バックパック】OSPREY「EXOS 34」
     アウトドアショップ「ジョイン」店頭でこのバックパックと対面したぼくは、瞬時に恋に落ちた。脳天にピカガラと稲妻が落ちたのである。性能はさておき、黄土色のこいつと赤褐色のサハラと、ぼくとの三角関係を夢想すると興奮が止まず、早く店頭から拉致したいという衝動を抑えられなくなった。理由はない。一目惚れである。
     レースの成否はバックパックにかかる。身体の密着度合いからしても、シューズとともに肉体の一部として扱うべき存在だ。バックパック選びに失敗すれば肩・首・腰と痛みが広がり、最終的にはレースから逃避するかせぬかの葛藤に追い込まれる。
     ぼくがバックパックに求める最大要素は、ベルトを自分の感性のままに調整できるかどうかだ。バックパックは3つの点で支えられている。右肩、左肩、腰である。その各支点にかかる負荷は3つのベルトでコントロールする。ショルダーハーネスと呼ばれる両肩のベルトを緩め、ウエストベルトを締めたら荷物の90%ほどの重量が腰にかかる。その逆もできる。平常時では背中全体に重量を分散させるが、数分単位で主たる加重の場所を変える。走りながら、指一本ミリ単位の操作でコントロールできるベルトが理想だ。
     半年前にアドベンチャー・レース用に特化した「グレゴリー・アドベントプロ」というザックを仕入れ、練習を重ねていた。しかし登山用ザックとの「締め方の違い」に慣れなかった。そんな現妻との相性もあったのだろう。意のままに加重を操れるOSPREY「EXOS 34」との出会いは運命だと思えた。レース1カ月前にしてのバックパック変更だが、吉凶はやってみないとわからん。
     重量は910グラム。背中とザックの間に空間が設けられているので、汗がザック内に染み込まない。10キログラムの荷物を入れ全力で走ってみると、身体とのフィット感がすぐれている反面、やや背中でバウンドする傾向がある。それも愛嬌と受け止めよう。とにかく恋に勝るものはない。こいつと心中すると決めた。

    【シューズ】サロモン「XTウィング」
     大きく左右に張り出たアウトソールによって、岩・ガラ場のエッヂを確実に捕捉する。頑丈で大がかりなソールと引き替えに軽量さは失われ、片足390グラムと重量感がある。
     他のシューズと一線を画しているのは「クイックレースシステム」と呼ばれる独特の靴ヒモ。幅1ミリ未満の細く頑丈な1本のヒモがリング状にシューズに張り巡らされており、指1本で締める・緩めるを調整できる点である。砂漠の連続ランでは、足の裏や甲が大きく腫れあがるという。そんな状況変化に対応してくれそうだ。ぼくの平時の足裏のサイズは26センチだが、腫れを見越して28センチを選んだ。
     また、サハラでは靴内部に侵入した細かな砂がやすりとなって足裏をこすり、ためにマメができてたいそう苦しむと言う。「XTウィング」は、砂を通しにくい形状のメッシュ素材で覆われている。が、きっとマメについてぼくは他人よりも耐性がある。三度にわたる千キロを超える徒歩旅行をこなすうちに痛みに慣れてしまった。火であぶったピン先で挿して水分を飛ばし、鉄のようにテーピングすれば痛点はなくなる。問題ない。

    【ボトル&ボトルホルダー】モンベル「アジャスタブル ボトルホルダー」
     主催者から支給されるペットボトルの水を、常時1.5〜4.5リットル保持しながら走るためには、バランスの良いパッキングが求められる。背中に10キロの荷を背負い、身体の前面にウォーターボトルを数本装着して、前後のバランスを取る。欧米のバックパックメーカーは、ザックに装着するさまざまなアタッチメントを開発しているが、日本では入手困難だ。ようやく見つけたのがコレ。背面のマジックテープを使い、バックパックのショルダーハーネス(肩ベルト)に装着できる。1リットルのボトルが入るので左右で2キロ分の水を体前面に保管できる。

    【ウエストボトル】ネイサン「ランニングウエストバッグ Xトレイナーミューテーション」
     500〜650mlのボトルを横置きに収納。サイドには148mlのゼリーチューブをセットできるホルダーがついている。横揺れ、縦揺れの少ない秀作である。

    【ウォーターリザーバー】モンベル「オメガリザーバー 2.0L」
     3つのボトルホルダーに加え、バックパック内には2リットルのウォーターリザーバーをセットする。水の入った袋につながるホースを肩口から胸元に伸ばし、走りながら水補給できる。ホースの先の吸引部分は奥歯で軽く噛めば、勝手にリザーバーから水が押し出されてくる。このオメガリザーバーの利点は大開口部にある。大人の腕も入る巨大な給水口からは手をつっこんで水洗いできる。年がら年中清掃する必要もないが、スポーツドリンクを使う場合は炎天下だと腐るので、洗浄が必要なのである。また吸水口上部にフックがついており、バックパックの上ブタあたりから吊り下げることができる。こんなちょっとしたアイテムが、実戦での使いやすさにつながる。前面のボトル+背面のリザーバーで合計4.5リットルの水を身にまとう。

    【シュラフ(寝袋)】モンベル「U.L.アルパイン ダウンハガー#5」
     重量わずか475グラム、世界最軽量クラスのダウンシェラフだ。軽さだけを主眼に置いて選択した。サハラ砂漠の夜の気温は摂氏10度前後。仮に5度まで下がっても必ずしも寝袋が必要とは言えないが、大会主催者から「必携品」に指定されているため、持たざるを得ない。U.L.アルパイン ダウンハガーは末尾の数字が大きくなるほど軽量化していく。さすがに#5
    にもなると中のグースダウンもまばら。太陽に透かすと向こうがスケスケ。だが僅か475グラムに文句を言ってはいけない。夜露と夜風がしのげればいい、と考えておく。

    【ダウンジャケット】ムーンストーン「ルシードリッジダウンジャケット」
     グースダウン93%、わずか250グラムの超軽量。格子状の縫製がされているためダウンの偏りができない。ランのあと日没から睡眠までの時間帯に使用する。睡眠時はシュラフと併用して快眠をむさぼる。

    【帽子】Kappa「バンダナキャップ」
     砂漠の強烈な日射しから頭部を守る。おでこに布をあてがい、後頭部の布をまわしてマジックテープで留め、頭頂部から首筋まで布で覆う。大きめの三角頭巾みたいなものだ。うらめしや〜。

    【サングラス】アディダス「a150」
     直射日光や砂からの反射光から眼球を守る。

    【主食1】尾西食品「ごはんシリーズ」
     「白飯」「五目ごはん」「わかめごはん」「梅わかめごはん」「赤飯」「山菜おこわ」「炊込みおこわ」の7種類のアルファ米シリーズと、「白がゆ」「梅がゆ」の乾燥粥シリーズがある。1袋100グラムで300〜400キロカロリーの熱量がある。いずれも熱湯を袋に注ぎ、封を閉じて15分程度待つ、というだけの簡素さ。保存食とは思えないほどの美味で、袋の封を開けるタイミングさえ間違えなければ炊きたてごはんのようなふっくら感を再現できる。実験的に試食している段階でやみつきになり、1週間連続で主食扱いとなった。湯が沸かせないときは冷水を入れても1時間で食べられる柔らかさに戻る。袋のまま食べられるので食器いらず、しかも各袋に1本ずつスプーンが付いているという至れり尽くせり感。サバイバルの最高のお友だちだ。

    【主食2】レガー「岳食シリーズ」
     登山家に愛用されるレガーのアルファ米シリーズは、尾西食品の和風シリーズに対しオシャレ感漂う洋風メニューで種類も多彩。「野菜コンソメリゾット」「トマトリゾット」「チーズリゾット」「サーモンリゾット」「きのこリゾット」「ビーフカレー&ライス」「ガーリックリゾット」「サーモンピラフ」「カレーピラフ」「ポーク&ガーリックピラフ」「チキン&やさいがゆ」「おぞうに」「おしるこ」。うむ、これじゃあふだんの食生活よりグレードが高くなるじゃないか。重さは1食80グラムほど、カロリーは300キロカロリー前後。主催者サイドから7日間で1万4000キロカロリー分の食料携帯を義務づけられているから、単純計算でこれら乾燥食料を47袋バックパックに詰めないといけない。1食90グラム平均として総重量4.2キログラム。けっこうな重さである。荷物を軽量化させるため、初日、2日で大量に食ってしまおうと思っている(甘いかな?)。

    【その他食料】
     丼のもと、雑炊のもとなど乾燥食料を多数。顆粒状のコーヒー12本、アクエリアス6袋など。

    【コッヘル】
     食器はこの1コだけ。火の元は砂漠の風に舞う小枝にライターで着火。至ってシンプルで原始的な食生活を営みます。

    【ナイフ】ビクトリノックス「オフィサーナイフ 91mm スタンタード・スパルタンPD」
     暑い国ではナイフ1本と食料・水があれば、何はなくとも生命は維持できる。使い慣れたナイフは、缶切りからスプーン、緊急時のメスの代用まで、あらゆる生活小道具の役割を果たしてくれる。

    【アルミ製のサバイバルシート】
     表が金色、裏が銀色のアルミ蒸着シート。負傷などで体温が低下したときは金色を外向きに身体をくるみ体温保持、銀色を外側にすると高温・炎天下時の日よけ・断熱効果が期待できる。たぶん薄いシュラフだけだと夜は寒いので、こいつを簀巻き状態にする予定。
     
    【懐中電灯・スペア電池】サウスフィールド「SF LEDヘッドランプ 」
     キセノンライトとLEDライトが組み合わされている。LEDは3段階の強弱調整ができ、さらにキセノンライトは集光散光調節ができる。レースの4〜5日目には、昼夜をかけて最長80キロを走るノンストップステージがある。電池消費を避けたうえで、ルートを迷わず確実に辿るために、数パターンの光のオプションは役立ちそうだ。単四乾電池3本を加えても150グラムと軽い。

    【コンパス】シルバ「Ranger3」
     砂漠に道はない。地形と方角確認はランナーの最低限の務め。

    【警告用のホイッスル】A&F「エマージェンシーホイッスル」
     プラスチック製の笛の表面にはSOSモールスコードが刻印されている。8グラムという身軽さながら、思いっクソ吹けば相当やかましい音が出る。砂漠のど真ん中で、ひとりぼっちでこの笛をピーピー吹いているような、もの悲しい結末にはしたくないもんだな。

    【シグナル用の鏡】 完全に道を見失った際に、日光を反射させて自らの存在を捜索者に知らしめるもの。命がけの地味な行動だ。

    【時計】セイコー「スーパーランナーズ」
     サハラマラソンがレースである限り、より速く、よりよい成績でゴールをめざし走るのは定めである。マイペースで走るのならレースに出る必要なんてないんだからさ。時間の管理を託すのは、この相棒をおいて他にはない。オーソドックス・イズ・ベスト、スタンダード・イズ・ベストの代表格だ。

    【カメラ】オリンパス「防水デジタルカメラ μ1030SW (ミュー) 」
     砂の侵入の心配が一切ない防塵設計。汗と脂でドロドロの手でつかむもよし、水洗いもよし。高さ2メートルから落下させた耐衝撃実験も念入りに行われたマニアックなコンパクトカメラだ。「XDピクチャーカード 2GB」と 「リチウムイオン充電池 LI-42B」の予備を1本ずつ持って行いく。

    【毒素抽出用のスネークポンプ】ドクターヘッセル「インセクト ポイズン リムーバー」
     サソリや毒虫に刺され、咬まれた場合の応急処置に使用する。刺されたら2分以内にこのマシンを傷口に押し当て、皮膚の表面をカップ内にバキュームし、毒液を体外に出す。せっかく入手した珍品ながら、なるべくなら恩恵に預かりたくはないものです。

    【ワセリン】健栄製薬「日本薬局方 白色ワセリン 60グラム」
     股間に塗り股ズレを予防する。あるいは男性の大事な部分・・・つまりマラに塗りたくる。歩幅70センチとして230キロメートルを走り切るには、32万8000回という途方もない回数、脚を前方に繰り出さなければならない。その回数こすられるマラ君の労苦たるや想像を絶する。せめてワセリンという名の愛で包んでやりたいのである。

    【その他薬品】 
     絆創膏20枚、鎮痛薬20錠、医療用固定テープ2巻など。

    【消毒剤・液】第一三共ヘルスケア「マキロンS 30ml」
     大会サイドからの携帯指定品。マキロンS30mlにしたのは、ドラッグストアに置いてある殺菌消毒剤でこれが一番軽量であったという理由。

    【安全ピン10本】
     大会サイドからの携帯指定品。ナンバーカードを留めるためだと思われるが、安全ピンは思いがけず役立つ。特に足マメの処理には欠かせない。

    【その他】
     心電図、健康診断書、パリ往復航空券、パスポート、ライター、タオル
    【大会サイドからの提供品】
     発煙筒、固形の塩、照明スティック 

      
    遠足準備にいそしめば、夜がしらじらと明ける。今宵は目が冴えて眠れない。眠れない夜は1日分得した気分だ。バックパックかついで夜明けの海岸に走りに行こう。無駄なことに汗を流し、無駄なことに命を張ろう。道を踏み外してからが人生のはじまりさ。どうせ死ぬまでのお祭りよ。暴れまくって生きてやろう。
  • 月刊タウン情報CU*2月号 実売部数報告 cu0902_busuu.jpg cu0902_suii.jpg


    月刊タウン情報CU*2月号 実売部数報告です。
    タウン情報CU*2月号の売部数は、
    7308部でした。
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    メディコムでは、自社制作している
    「月刊タウン情報CU*」「月刊タウン情報トクシマ」「結婚しちゃお!」
    の実売部数を発表しております。
  • 月刊タウン情報CU4月号特別ふろく本「Beauty World」 BeautyhyoushiOL_web現在発売中の月刊タウン情報CU4月号には徳島のビューティサロン150店舗が掲載されている特別ふろく本「Beauty World」がついています。
    お肌をキレイにしたい、スリムなメリハリボディに憧れる、うっとりネイルにが戦したい、クリニックでキレイにしてもらいたい、春髪に変えたいなど、女性の美への願いはこれ1冊で解決できるとっても便利な本です。



  • 月刊タウン情報トクシマ2月号 実売部数報告 tautoku0902_busuu.jpg tautoku0902_suii.jpg

    月刊タウン情報トクシマ2月号 実売部数報告です。
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  • CU4月号は本当に美味しいもの白書! tokushima-cu0904あなたは今までに心の底から美味しいと感じたものに出会ったことがありますか?
    CU4月号の特集は「ごっついおいしいもん2009」。徳島の女性が「これはおいしい!」と唸った究極の75品を集めました。そのなかには、和食、洋食、中華にカフェメニュー、はたまたテイクアウト可能なスーパーのお惣菜やデパ地下のお弁当などジャンルを問わず大放出。口にした人みんなが笑顔になれる徳島の五つ星メニュー&食材。これを見て幸せ美食ライフを謳歌しましょー。
  • 結婚しちゃお!冬号 実売部数報告09冬号_結婚しちゃお!部数報告書.pdf
    09冬号_結婚しちゃお!部数推移.pdf

    結婚しちゃお!冬号 実売部数報告です。
    結婚しちゃお!冬号の売部数は、
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    詳しくは、上部のファイルをクリックしてください。
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    「月刊タウン情報トクシマ」「月刊タウン情報CU*」「結婚しちゃお!」の実売部数を発表しております。
  • さらら3月5日号と一緒に自転車に乗って出かけよう! tokushima-salala0305春の足音が聞こえて来そうな今日この頃。さらら3月5日号の特集は…「今日から変わる!マイ自転車生活」。
    次第に暖かくなってくる今だからこそ、健康にも家計にも優しい自転車生活を始めてみませんか?あなたの家にある使い古された自転車をより快適に乗りこなす方法や、徳島の街がもっとこうなれば自転車に乗りやすくなるのに…というご意見をどどーんと紹介。これを読めば、あなたの自転車生活が変わります!
    また巻頭の「嗚呼!さらら番付」は、徳島県民に聞いた「旅先で大失敗」。楽しい旅の思い出に必ずといっていいほどついてくる、ずっこけ話。さぁ、あなたはどんな失敗をしてきましたか?
  • 熱砂に汗がしゅみこむのだ サハラマラソン参戦3カ月前「走る意味」
    文=坂東良晃(タウトク編集人)

     走るという行為には、それ自体に純粋な意味がある。振りだした脚で思いきり地面を叩き、これでもかと心臓を打ち鳴らし、呼吸を荒げ、苦しさに顔をゆがめる。その行為そのものに意味がある。
     競技大会でいい成績を残すことや、特定の距離で自己ベストを出すといった目標・・・過去の自分よりもレベルアップした今の自分を数値で確認することは、マラソンに取り組むうえで大きな動機づけとなる。しかし、そういった知的な目標・・・ストップウォッチや心拍計、あるいはGPSやフットポッドを動員して綿密にレースペースや体調を管理するという、とても都会的で自己管理型の目標とは違う「走る動機」が、身体のどこかに宿されている気がする。

     十代の頃、ぼくは走っていた。
     陸上部員でもなく、市民ランナーでもないのに、毎日走っていた。「何キロ走った」「何分で走った」という数値目標はなく、ただ走っていた。漫才部と格闘技研究会と新聞部に所属していた高校生の頃も走っていたし、高校を卒業し今でいうフリーター、当時はプータローと呼ばれる生活に入ってからも走っていた。
     早朝新聞配達をしていた頃は昼間に走り、夜勤の運送屋で稼ぎながら明け方に走り、昼に土建屋を手伝いつつ夜中に走った。肉体労働をし、同年代のサラリーマンよりたくさん金をもらいながら空き時間を見つけて走った。給料にほとんど手をつけないので何カ月か経つと金が貯まる。頃合いを見て銀行で全額下ろし、長い旅に出る。

     十八歳。北海道から東京まで1400キロを走り、歩いた。
     十九歳。北海道から鹿児島まで2500キロを走り、歩いた。
     二十歳。ケニアからカメルーンまで5500キロを走り、歩いた。

     今でいうところの超長距離走というジャンルなのだろうか。ぼくの場合は競技や記録づくりの意味合いはない。スポーツではなく、冒険旅行でもない。他人のやらないことをやってやろうとの野心もなく、ただ無我夢中で移動していた。自分がいったい何を目指し、何をやっていたのか、当時はよくわからなかった。とにかく自分の脚でどこまで行けるのかを知りたかった。アスファルトや土を踏みつけながら、何物にも頼らず遠くに行きたかった。率直に述べれば「他にやることがなかった」のであり、「処理に困るほどのエネルギーの持っていき場がそこだった」のである。
     想像を絶するほど遠くまで行けば何か答えが見つかるのではないか、という確信・・・いや信仰めいた思いがあった。小田実や植村直己や藤原新也や沢木耕太郎がおこなった二十代の旅。旅という熱波が、無力で非生産的な青年期の若者の内面に語るべき言葉を溢れさせたように、ぼくにもそんなマジックが働くのではないかという希望的観測。
     走り、移動し、旅を続けた4年間。答えは、長くさまよったアフリカの熱帯雨林地帯にあった。ジャングルの中でめぐり逢った人びとは、生まれてから一度も自分の集落やコミュニティを出ない。半径数キロの行動範囲の中で一生を終える。ところが、生まれて初めて遭遇する外国人・・・ぼくに対して警戒もせず、充分な施しを与えてくれる。皆おおらかで、親切で、心配性で、明るく、人間味に溢れている。生活に余分な装飾はなく、人生を揺るがすファンタジーもない。実直に生き、ふところ深く人を受け止める。
     「今ここに存在しない自分」を求めて旅してる自分は何だろか?と考え込む。シャングリラやらガンダーラやら「機械の身体をタダでもらえる星」なんてあるわけない。アフリカの人たちに比べて、ぼくはなんて陳腐なんだ、ああ陳腐な人生だね! そして走ることをやめた。生まれた場所に戻り、プータローを引退した。マジメに働いた。 

     四十歳を目前にして、再び走りはじめた。
     社会に出て20年、ぼくは本をつくって生きてきた。「いっしょに本をつくろう」とたくさんの若者に声をかけた。若者たちは本をつくることで生活の糧を得、社会のしくみを学んだ。
     「お前は何のために経営をしているのか?」と問われたら、昔は答えられなかったと思う。今は「若い人を雇うためだ」と断言できる。企業活動の本質は、職場づくりだ。いい職場があってはじめて世間に評価されるモノが作れ、誰かの役に立つサービスが提供できる。いい職場であるためには、そこに働く人たちが他者の意思ではなく自分自身の考え方によって行動する必要がある。自立した考えを持ち、揺るぎない意志をもとに行動する人である。
     会社を創業したころ二十代だったメンバーがベテランとなり、本づくりの中心にある。ぼくに代わって彼らが若者の育成に汗を流し、問題や危機に即断対処している。前向きな提案は全員にメールで送り、否認がない限り実行できる。経営者や上司の承認など待つ必要はない。変えたい者がルールを変えられる。モノをつくる会社で最も尊重されるべきは現場である。働く時間も、休日も、商品企画も、すべて自分で決め、誰の指図も受けない。誰かにやらされるのではなく、自分の意思でやる。そのような考え方の基盤をつくった。安定経営よりも若者の採用を最優先し、若者がパワーを発揮できる場所を用意することに全力を注ぐ。そんなチームづくりが完成に近づいたのだ。
     では次の20年は何をすべきか?と考えたとき、心象風景が一気に20年前へと遡る。高校を卒業して社会にポッと飛び出し、いったい何をやっていいかわからず、ただガムシャラに走っていた頃と何一つ変わらない心の地図が蘇るのだ。
     あの頃考えていたこと・・・人として生まれ、社会的生物として生きていくには経済活動か、もしくは奉仕活動を行い、人のためになることをしなくちゃいけない。独立した一個人としては、他人に迷惑をかけない程度の最低限の収入を得て、目的をやり遂げるための原資を所有しなくてはならない。・・・そんな青二才でモラトリアムな高校生レベルの事しか頭に浮かばないのである、四十にもなって! 人の集団づくりに懸けてきた自分が、いつしか組織に頼り、1人では何もできない大人になっちまってんの?
     「今から何をなすべきか?」と問うてもレーニンは答えてくれない。瞑想しても滝に打たれても解脱など起こらない。地上のどこにもその解答はなく、自分の内側に存在している。だから走ることを再開したのだ。走るという行為を通じて、身体の表面から余分な物を削り取っていき、その核心に近づく。実際のランニングだって、突き詰めれば無駄を削ぎ落とす作業なんである。前方への推進力を阻害する要因をフォームからなくし、最大酸素摂取量を向上させるため脂肪を落とす。速くなればなるほどランニングシューズのソールを薄く、ウエアを軽くして、裸に近づいていく。
     同じことを脳みその中でやってみる。走りながら考える。それは静止した状態の思考とは明らかに違う。オフィスで頭をひねっていても決してたどり着かない結論に、ランニング中に一瞬で到達するときがある。太古から何万年間も獲物を追っかけ回していた人類の子孫なんだから、走るという動的状態において脳みそがベストエフォートを得ようと活発化するに違いない。獲物追っかけている途中に、10コもの選択肢があってアレコレと迷っている狩人なら、たちまち敵に食い殺されてしまう。走り出したら、頭に浮かぶ選択肢は2つか3つ。そして判断は速攻。人の中の野性がそうさせるのだ。
     ぼくはきっと、これからの20年に対して、とてもシンプルな答えを導き出すために走っている。イーブンペースは大無視して、ハンガーノックよ枯渇よこんにちは。チギられ、もだえ苦しみ、自分の核にたどりつけ!