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2014年9月
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ラーメン×秋まつり×文化祭。タウトク10月号 ■とくしまラーメン団2014
進化する有名店、味を守る老舗、2014年にオープンした新勢力、カフェ・バー・居酒屋で発見した極上麺、徳島県民が愛してやまないおいしい中華そば・ラーメン100杯!
■伝統と食の秋イベント
神輿に、グルメに…徳島の秋はお祭り騒ぎだ〜!
■高校文化祭メモリーズ2014
笑顔満開!徳島県内の高校文化祭レポート! -
お茶が恋しくなる季節!さらら9/18号 ■スーパーで買える&おいしい
ティーバッグのお茶&徳島の名茶葉はこれじゃ!
■素敵なマスキングテープ使い
■旬のすだちはこう食す!
塩レモンならぬ塩すだち?一瞬でできてしまうすだちポン酢
■秋はほかほかホットサンドでいこう
■朝にぴったりのヨーグルト、見〜つけた
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こどもっと!。CU10月号 ■徳島、お子さま連れ歓迎のお店
特集 こどもっと!
カフェ、レストラン、和食、お食い初め、カラオケ、ネイル、美容室、歯科etc...
■我が子の人生初ビッグイベント
特集 七五三
教えて七五三のアレやコレや
■とくしまの美ネタ豊作
キレイの秋支度はじめよっ
美顔鍼灸、秋ネイル、骨盤矯正で下半身ヤセ!、タイ古式マッサージ、手づくりハンドクリームetc... -
滝と渓谷歩き。徳島人10月号 ■滝と渓谷歩き
岩肌を伝うようにしなやかに流れ落ちる瀑布
段を成して連なり落ちる段瀑
遥か上方から迷いなく直線を描く直瀑
徳島の山峡で待ち受けるのは個性豊かな滝だった
■徳島駅物語
国有化、大空襲の焼失、戦後ヤミ市、百貨店の誕生
時代の変遷の中心に徳島駅はあった
■有料老人ホームとサービス付き高齢者住宅
■フルマラソン68歳の部全国ランキング1位・今津毬子さん -
バカロードその73
夏にやってみたいろんなこと文=坂東良晃(タウトク編集人、1967年生まれ。1987年アフリカ大陸を徒歩で横断、2011年北米大陸をマラソンで横断。世界6大陸横断をめざしてバカ道をゆく)
長距離ランナーの1年は忙しい。先々の予定まで週刻みでびっしり埋まっているという点では総理総裁の上をいくかもしれない。
だいたいシーズンオフという考え方がない。のべつまくなしに1年中走っている。
200〜500kmの大会は春と秋に集中していて、その足づくりを目的に100kmを数本入れる。100kmでそれなりのタイムを出すにはスピード持久力が不可欠であり、ために冬期はフルマラソンに連チャンで出場する。フルマラソンを失速なく走りきるには心臓を追い込んでおく必要があり、空いた週に10kmやハーフの大会を差し込む。
これらの予定をカレンダーに書き込んでいくと、休みなどまったくないことに気づく。
短いサイクルでガンガンレースに出て、強くなっていくという川内メソッドは中高年には該当しない。脚のダメージを抜くにはフルで1週間、100kmで2週間、200km以上で3週間。これより短い間隔で走りつづけると、「超回復」に至る前に筋肉を酷使してしまうから、どんどん衰弱していく。踏ん張りの効かないぐにょんぐにょんの足で一定のスピードを出そうとすると、体力を著しく消耗する。
結果、1年中疲労の抜けない精気に乏しい虚弱なオジサンが完成する。
そんなマーク・ザッカーバーグ並みに忙しい長距離ランナーも、夏の間だけはしばしレースから解放され、練習に没頭できる。7月に突入し、入道雲が高い峰を築く日和になると、ようやくわが国においても酷暑対策に適した練習環境が整う。ベランダに置いた温度計が30度を超えると、気合いが入る。同じ「走る」という行為でも、気温10度と35度では別競技と言っていい。克服すべきポイントがまるで違うからだ。日本ではたった2カ月しかこの灼熱環境が得られない。真夏にどれだけ走り込めたかが、根拠なき自信を高められるかどうかにつながる。そう、高まるのは自信だけであって、競技能力ではない。
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【滝汗と手絞りしやすいシャツ】
真夏は汗がドバドバ出る。弱い牛ほど汗をよくかくと言うが、ランナーも似たようなものだ。弱いランナーほどよく汗をかく。
その典型がぼくである。10km走ると体重が2kg落ちている。20kmなら3kg減だ。走り終わって鏡を見ると、明らかに顔の輪郭がほっそりしている。少しうれしい。走る前にはなかった背骨の凹凸が、ゴツゴツと突起を現している。これもうれしい。体重62kgのうちの3kgだから、けっこうな比率である。しかし元メタボオヤジ代表としての歓びにひたっている場合ではない。長距離ランナーは、汗が流れ落ちてスリムになり老廃物もデトックスできてすっきり爽快、と簡単に受け入れてはならない。発汗にともなうデメリットの多さは枚挙を問わない。
気温が上昇してくる春先のレースから汗かき地獄がはじまる。周りのランナーは誰も汗をかいてない序盤だっちゅうのに、バケツいっぱいの水をぶっかけられたくらい汗を垂れ流している。沿道のおばあさんには「すごい汗かいてるねぇ、暑くて大変やねぇ」と声をかけられる。「いや実はね、おばあさん。ぼくは今すごく汗まみれだけど、これは体質から来ているのであって、ものすごく暑くてバテてるからこうなってるのではないのですよ」と説明したいところだが、タイムに影響するので笑顔をふりまいて通り過ぎる。
ある尊敬する先輩ランナーから視覚障害者ランナーの伴走練習会に誘われ、勇気をもって参加したい気持ちはやまやまなのに、自分の滝のような汗がガイドロープつたって流れていったり、パートナーにびしょびしょかかって、「うへぇ、こいつキモい」と思われやしないかと心配で、いまだに練習会から逃げている。まったく困った小心者である。
シューズ内はカッポカッポと馬のひづめのごとく音を鳴らし、ずっしり重くなる。びしょ濡れのランニングパンツが発火点となってはじまる股ずれ吉原炎上。そして「自分はものすごく汗臭いのではないだろうか」との対人恐怖。なるべく他人の風上には立たないなどの配慮にも気を遣う。これでは走るどころではない。
ランナーなら身体から水分が抜けない体質の方が良いに決まっている。汗とともに失われる希少ミネラル、壊れていく体温の恒常性機能。発汗と共に体調はどんどん悪化していく。
画期的な汗止め対策はない。「多汗症手術」とネット検索してみたが内容を読んで怖くなってあきらめた。何をせずとも、9月になって秋風が吹き始めると汗はピタッと止まる。ならば夏は汗を100リッターかくものとあきらめ、「汗を絞る」方面に注力することにした。走りながらシャツをやおら脱ぎ、汗を吸って重量の増したシャツを二つ折りにして、ぞうきん絞りの要領でギュギュっと絞り、また着直すという原始的な方法だ。
ひと夏かけて、所有する数十枚のランニングシャツで実験を試みた。そして、もっとも吸湿力が高く、さらに絞ったときに水分を排出しやすいシャツを見いだした。大会の参加賞でもらったノースフェース社のドライ系シャツだ。イチ、ニのサン絞りで、繊維内に蓄積された水分の9割方が落ちる印象。念のため重量を量ってみた。汗を吸いまくった状態で450gのシャツが、絞り終えると250gに落ちる。つまりシャツを絞るたびに着衣込み体重が200gずつ軽量化を果たしていくのだ。ま、それだけ脱水症状にも近づいてくってことだけど。
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【ジョグを封印する】
ここで述べる「ジョグ」とは、疲れもせずどこまでも走れそうなペースのこと。キロ6分30秒〜7分あたりだ。このペースだとたくさん距離を稼げるので、自然と月間走行距離も伸びる。20km×25日で500kmだ。疲労もたいして残らない。
そして危険な罠に陥る。少々ランニングをたしなんでいる方との定番の会話「最近は月間どれくらい走ってるんですか?」トークである。「500kmくらいですよ」と言うとたいてい「すごいですねぇ」と感心される。もちろん相手は心から「凄い・・・こやつは本物だ!」なんて感心しているわけではない。女子が交わす「髪切ったんだけどぉ」「カワイイィ〜!」くらいの意味のないコミュニケーションの潤滑油である。
ところが、こちとらふだんから誉められ慣れてないから、「500kmも走ってたら無敵ですね」なんて言われると「オレは無敵なのかもしれない」と勘違いがはじまる。そして月間走行距離に裏づけられた絶大なる自信を胸にレースに臨み、早々のうちに実力を露呈してリタイア、を繰り返す。漫然とジョクペースで稼ぐ500kmに意味はないのである。
今期は、練習を3タイプに分類し、いずれかの練習に特化した。
1.10kmの全力走(キロ4分30秒前後)
2.キロ6分の維持走(バテバテ疲労時のみ許す)
3.100km以上のロング走
練習の基本は10kmの全力走だ。といっても基本走力がのろいぼくは、夏場ともなると45分を切るので精いっぱい。ラスト2kmでペースアップを開始し、ラスト1kmは3分59秒以内で走る。土手のうえの一本道を、中年男がもたもたと回転の遅い足を懸命に動かし、取り憑かれたように走っている。すれ違う美ジョガーたちが、こちらの鬼気迫る表情を一瞬見ては目を逸らし、通り過ぎる。見てはいけない物を見てしまったかのように。ラスト200mは視野が狭くなり、脳みそが酸欠になって、地面が近づいてきたなと思うとバッタリ倒れる。
これを月曜から休みなく続けていると、金曜にはフラフラになってくる。いちばんキツいのが朝だ。疲労が溜まりすぎて布団から起き上がれない。若者と中年の最大の違いは、若者=眠ったら体力回復、中年=寝起きが疲労のピーク、という結果に現れる。
それでも無理に身体を動かして全力走をする。やがて1km走るだけでゼエゼエ呼吸が荒くなり、「ワタクシ、何のためにこんな事をやっているのでしょうか」との俗人的な心が芽生えはじめる。この感じ、超長距離レースの中盤以降に近い。エネルギー切れや脱水を起こした後に人格崩壊がはじまり、リタイアする理由を100個ほど並び立てて投げ売りセールをはじめる頃の。
長距離ランナーにあるまじきクサレ外道な人格と化した後に、キロ6分台で走れるだけ走り続けるってのが「キロ6分の維持走」。もはやこの歳になって人格を高潔ポジティブなのと入れ替えるのは無理。ダメ人間でもキロ6分台キープできる能力をつける現実的選択をするのだ。
そして100km以上の長距離走を月に1〜2本を行う。100km以上走るとやってくる悪魔たち・・・極限の疲労や眠気、足の激痛は、50km走や70km走では再現できない。キロ7分ペース×50km走を何本こなしても、200kmレースの練習には少しもならない。苦しさの次元が別物だからだ。
この3タイプの練習はいずれもとっても苦しくて、「ジョクペースでファンランニング」という場面がない。10km走中心だから、月間走行距離も伸びない。100km以上ロング走を2本入れて、ようやく月間500kmあたりに達する。息も絶え絶えの500kmだ。これでも実力つかんか!と夏空に叫ぶ。こんだけ努力してるんだから、走力ついてくれよ!
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【ウルトラライト・パッキングを極める】
2日以上かけて100kmを越えて走るときのために、荷物の最軽量化に取り組んだ。
荷物を持つのが嫌いなのだ。バックパックなんてなければどんなに軽快に走れるだろうか。
にも関わらず長距離のレース前には、あれも必要、これもイザって時のために持っておこうと、どんどん持参物が増え、最終的には両肩にずっしり食い込むほどに荷が膨らむ。しかし、レースが終わって荷片付けをしていると、実際には使わなかったモノだらけだって気がつく。バックパックの容量の70%は不要品で占められているのだ。
考え方を変えてしまうことにした。雨が降ったときのためのウインドブレーカー、マメができたときのためのテーピング・・・など「何々が起こったときのための」との予防措置的なブツはすべて除外するのだ。こちとら山岳レースに出るわけじゃない。どんなに長くとも20km以内にはコンビニや自販機がある近代日本の一般道を走っているのである。必要な物は店で入手すればよいのだ。
思想的には、着ている服とシューズ、現金以外は何もいらない、という所まで追いつめたい所だが、文明人として若干の利便性は確保したい。今のところの極限のウルトラライト・パッキングは以下だ。
ウエストバック+点滅ホタル
スマホとスマホ充電コード
ヘッドランプ
健康保険証
電子マネーカード
現金(自販機用)
それぞれを小分けする防水用ビニル袋
・・・以上だ。
着替えは持たない。着ている服が臭ってきたら、公衆トイレの個室にこもり全裸になってシャツ、パンツ、ソックスを洗う。手絞りしたらそのまま着て、太陽の下に走りだせばすぐに乾く。ビジネスホテル泊まりなら、チェックイン後すぐにホテル備品の浴衣やパジャマに着替えて、衣類はランドリー室に直行。
予備の電池や薬品は持たない。必要な場面で少量ずつ買う。歯磨きはあきらめる。これで総重量350グラム。ウエストバックは玄関脇にぶら下げておいて、いつでも旅に出られるようにしておく。この夏は、九州縦断、四国横断、北海道縦断とロング走を繰り返す。
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2014年の夏は、後がない夏である。死ぬ気でやって結果を出さなければならない。世は科学トレーニング全盛だが、ぼくら世代は、幼少期に見た「侍ジャイアンツ」「あしたのジョー」「キャプテン」でもってすくすくとスポーツ脳が細胞分裂した。弓矢をバットで打ち返し、蛇口を針金でぐるぐる巻にし、3分の1の距離ノックでボロボロに。根拠なきハードトレーニングが栄光へと続く唯一の道だと刷り込まれているのである。
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バカロードその72
どんな富豪でも味わえないぜいたくな旅なんだな
〜土佐乃国横断遠足242km・後半戦〜文=坂東良晃(タウトク編集人、1967年生まれ。1987年アフリカ大陸を徒歩で横断、2011年北米大陸をマラソンで横断。世界6大陸横断をめざしてバカ道をゆく)
田園の一本道をトコトコと進む。このあたり標高200m以上の高台ながら、満々と水を湛えた水田が山あいの台地に広がっている。昼間の温暖な空気と、夜間の冷え込み、寒暖差を利用して栽培される仁井田米(にいだまい)は独特の香りとモチモチ感で知られている。
走りはじめて2日目の昼。ピーカン青空の下に三角屋根の連なりが見えてくる。153kmの「クラインガルテン四万十」だ。ここは滞在型の農園体験施設であり、牧歌的な雰囲気がヨーロッパの農村を思わせる。
施設の入口で大会スタッフが大きな身ぶり手ぶりで応援してくれている。前後にはランナーの影は見えない。1時間に1人来るか来ないかのランナーをずっと待ちかまえてくれているのだ。
到着すると、スタッフの方が「まずはお風呂にしますか、それともお食事になさいますか」と冗談めかして笑う。「食事はこの中から選んでください」と手渡されたA4用紙には、豚の生姜焼き、豚のしゃぶしゃぶ、納豆玉子かけ丼、豚汁など数種類のメニュー名が並んでいる。「いくらでも食べたいだけ注文してくださいよ。何品でもつくりますから」。シャワーを浴びている間に、料理を作っておいてくれるというのだ。
50kmあたりから吐き続けているので、何も喉を通らないかと思っていたが、メニュー表を眺めているうちに、かすかに食欲が戻ってくる。お言葉に甘えて、生姜焼き、野菜サラダなどをお願いする。ウルトラランニングってのはときどき理解できない現象が起こる。スタートから50kmぽっちでボロボロになったのに、そこから100km走った後には体力が回復してるってね。いったい限界ってなんだろう。肉体の限界ってのは実は死ぬ寸前まで酷使しないと訪れるものではなくて、たいていの「もう限界だ」は脳や心に備わったブレーキ装置なんだろう。
シャワーブースに入ると、直立した姿勢がつらい。服を着たまま床にベタッと座り、手を伸ばしてシャワーコックをひねる。髪の毛にシャンプーぶっかけて、流れ落ちる泡でシャツ、パンツ、ソックスを洗う。入浴と洗濯をいっぺんにやっつけて時間短縮する技は、アメリカ横断レースの際に先輩ランナーから教わった。ステージレースの最中に、1分でも長く睡眠時間を確保するために有効なテクニックだ。たしか毎日死ぬ思いで走ってたはずなのに、楽しい思い出しか残ってない。
湯上がりのジャストタイミングでほっかほかの料理ができあがっていた。聞けばお肉は「窪川ポーク」という地元の名産品。味の決め手であるタレに擦り込まれたニンニクも四万十町の特産品だとか。肉厚のポークからは肉汁がじゅわーっとしみ出し、甘い脂肪分が舌上で溶けていく。得も言われぬ美味さとはこのことか。もちろんご飯は、豊潤な香り匂い立つ仁井田米。
この大エイドには仮眠所も用意されているが、いかんせん到着したのが真昼だったため眠気が起こらず、後ろ髪引かれながらあとにする。出発する際には、ラップでくるんだおむすびや梅干しを持たせてくれた。滞在した1時間の間、何人ものスタッフの方に手厚く面倒をみていただいた。
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ゴールまで残り89km。次の大きな街は46km先の四万十市だ。中村街道と呼ばれる国道56号線を南下し、ループ状の急な下り坂を経て、黒潮町佐賀という土佐湾沿いの街に出る。入り江と岬が複雑に入り組んだ海岸ロードでは、屏風状に繰り返し現れる岬を登り、漁港のある街道へと下る。何度も登り、何度も下る。
日没後はまた眠気との戦い。暖かかった昨晩とは一転、今夜はひときわ寒く身震いがくる。短パン、半そでシャツではたまらず、コンビニで上下の雨ガッパを仕入れて着込む。しかし通気性のないカッパでは、内側にしたたる汗が衣類を濡らし、外気に冷やされて余計に寒い。奥歯のガチガチが止まらない。
そういえば以前このあたりを旅したときに、四万十市郊外にあるスーパー銭湯を利用したことがある。そこに着いたら汚れた身なりは気にせず突入しよう。まずは水風呂に飛び込んでアイシングしたら、温かい寝湯で横になって1時間くらいウトウトしようじゃないか。風呂あがりには生ビールをぐいっといくのもよい。名案だ、まさに名案だ。新たな心の拠り所を見いだして、気力体力ふたたび満ちあふれる。
夜の11時前、樹林帯が開けるとバイパス道の彼方に四万十市の街の光がきらめいている。いくつかの交差点を越えると、前方に「平和の湯」の大きな電飾看板が神々しく現れる。「やっと眠れる、温まれる。ヤッタヤッタァ」とガッツポーズを二度三度。生ビールもよいけど、ソフトクリームや練乳がけのかき氷もいいかも、とスイーツへの欲望もうなぎ登り。
温泉まで信号をあと3個と迫った頃、キラキラまばゆく輝いていた看板の照明がフッと消える。いったい何が起こったのか・・・は徹夜二日目のボケ頭でもすぐわかる。このタイミングで営業終了時間ってわけかよう。湯の香ただよう温泉駐車場の前をぼうぜんと歩く。忘れていた眠さと寒さが絶望とともにやってきてケタケタ笑っている。
ここから明け方まであまり記憶がない。半分眠りながら歩いていたと思われる。四万十川のいちばん河口に近い四万十大橋たもとが202km地点。深夜12時、日本一の清流が大地を潤す光景は、真っ暗で見えはしない。橋を渡り終えると、足摺岬の先端にある霊場・金剛福寺までの道しるべが至る所に掲げられている。四国八十八カ所をめぐる遍路道のメインコースに出たんだろうか。
バス停のベンチに膝かけ用の毛布を見つける。試しに首からかけてみると腹までしか届かない。だが体育座りになると足首まで覆える。体温が毛布に伝わり温かさに包まれると、この旅はじめての本格的眠りに落ちる。次に目覚めた時には、朝もやの奥にモノクロームな海辺の街が薄ぼんやりと佇んでいた。深い深い睡眠は、疲労の粒を鼻の穴から煙のように放出してくれた。ラスト30km、ぼくはまだ走る気力を残している。
三日目の太陽はやっぱり凶暴で、照りつけられた森の木々は、これ以上の緑はないという濃い緑を放っている。海を隔ててゆるいカーブを描く陸地の果てに足摺岬らしきこんもりした岬が見えてくる。
コースは車道を離れ、雑木林の細い遍路道をゆく。力強い日射しは枝々に遮られ、木漏れ日となって地面にたくさんの光の輪を描く。 鳥のさえずりと、山肌をつたう清流の音が耳に心地よい。
ときおり小さな集落が現れる。多くの家は広い庭に菜園を備えている。ビワや柑橘類の果樹がたわわに実をつける様は、家庭菜園と呼ぶには立派すぎる。オレンジ色に熟れたビワの実は、門塀をはみ出して歩道上にせり出している。1個むしり取って味見したい欲望にとらわれる。いや、ゼッケンナンバーをつけて走っている手前、軽犯罪行為は慎まねばなるまい。いい歳したオッサンがくだもの泥棒で起訴されるのも恥ずかしい。
ふと見ると、足下にビワが落ちている。1個だけではない。道路のあちこちにころりころりと転がっている。熟れすぎて自然落下したものであろう。落ちているものなら食べても犯罪には当たらない(と勝手に解釈する)。
1個拾って皮をむくと、指先から果汁がしたたり落ちる。果肉を口に含めば、高濃度の砂糖水よりも甘い。出荷用に早摘みされたものではなく、実が落ちる寸前まで太陽光を浴びたビワって、こんなにも美味いのか。落ちているビワを手当たりしだいむさぼり食う。
急斜面のへりを切り取った道路には、山側の崖からゴウゴウと山水が降り注いでいる。山水をパイプやホースで道沿いまで導いている場所が何カ所もある。お遍路さん用の水場なのだろうか。水の吹き出し口に頭を突っ込み、天然シャワーを浴びる。体温、5度は下がったね。
足摺岬まで5km、4km、3kmと距離表示の看板がカウントダウンをはじめる。楽しい走り旅が終わろうとしている。
岬の先端まであと200mに迫ったところで、前方にランナーが見える。足をひきずって、歩くよりも遅いスピードで、それでも走っている。100kmほど手前で追い抜かれた長井さんだ。UTMF、萩往還、そして土佐之国と1カ月の間に3連走している彼は、足の裏半分を覆う巨大マメに悩まされていた。見てるだけでもエグいのに、よくここまで来れたものだ。すごい根性である。
そして、われわれ以上に不眠不休でランナーを支えてくれた主催者の田辺さんが、ジョン万次郎像の横で、白いゴールテープを持って待っている。観客は、そこら辺の土産物店か観光案内所のおっちゃんとおばちゃんが2人。十分である。
長井さんのゴールシーンを感慨をもって見届け、いよいよ自分の番だが・・・どうだったかあまり覚えていない。だいたいゴールシーンって、自分以外の人のを見学するのがいちばん良いもんです。
ゴール後は、ランナー1人1人を車に乗せ、岬の高台にあるリゾートホテル「足摺テルメ」に送ってくれる。汗まみれ泥まみれで入館するには躊躇する建築美のここは、太平洋を一望する立派なスパを備えているのだ。「お風呂から上がったら電話してください。迎えに来ます」。そんなVIP扱いしてもらっていいのかなあと恐縮する。
宿舎に戻ると、1人に1皿ずつの尾頭つきのタイと刺身の盛り合わせ、山盛りのカレーライスが待ちかまえていた。飲み放題の生ビールを5杯あおったところで、べろんべろんに酩酊。畳敷きのお部屋で大の字になれば、そよ風が頬を撫でる。睡眠不足な脱水症状者だけが味わえる幸せに満たされる。
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100kmを超えるマラニック、ジャーニーラン系の大会といえば「ランナーの自己責任」が徹底されるのが通常である。徹夜続きで公道を走るからには、事故防止や体調管理は誰に頼ることなく自分で対処すべきなのは当然である。大会主催者や世話役の方に依存的な気持ちでいる人は参加する資格がない、とぼくは思う。
しかしながら「土佐乃国横断遠足」は、大会スタッフの「世話の焼いてくれっぷり」がハンパなかった。ランナーの健康管理や地域色あふれる食事、参加者事情にあわせた大会前後の送迎など、さまざまな場面で人間味溢れる対応をしてもらった。そこには、高知という独特の県民性がバックグラウンドにあると思う。陽気で、開けっぴろげで、酒飲みで、世話好きな土佐人の気質が全開なのだ。
242kmもの距離を走るのはもちろんラクじゃないけど、「土佐乃国横断遠足」は、競技性とは正反対の、長い走り旅を楽しみたい向きには打ってつけの大会だ。100kmウルトラを経て、「もっと長く走ってみたい」「100kmの先には何があるの」と興味をもった人の初トライの場として大絶賛おすすめします。
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タウトク・CU・徳島人8月号 実売部数報告月刊タウン情報トクシマ8月号、月刊タウン情報CU8月号、
徳島人8月号の実売部数報告です。
タウトク8月号の売部数は、6,626部
1408_タウトク部数報告.pdf
CU8月号の売部数は、4,152部
1408_CU部数報告.pdf
徳島人8月号の売部数は、3,800部
1408_徳島人部数報告.pdf
でした。
詳しくは、リンクファイルをクリックしてください。
メディコムは、「月刊タウン情報トクシマ」「月刊タウン情報CU」「徳島人」「結婚しちゃお!」「徳島の家」の実売部数を創刊号から発表しつづけています。
雑誌の実売部数を発行号ごとに速報として発表している出版社は、当社以外では日本には一社もありません。実売部数は、シェア占有率を算出し、媒体影響力をはかるうえで最も重要な数値です。他の一般的な業界と同様に、出版をなりわいとする業界でも正確な情報開示がなされるような動きがあるべきだと考えています。わたしたちの取り組みは小さな一歩ですが、いつかスタンダードなものになると信じています。 -
結婚しちゃお!夏号 実売部数報告14夏号_結婚しちゃお!部数報告書.pdf
結婚しちゃお!夏号 実売部数報告です。
結婚しちゃお!夏号の売部数は、411部でした。
詳しくは、上部のファイルをクリックしてください。
長らく雑誌の実売部数はシークレットとされてきました。雑誌は、その収益の多くを広告料収入に頼っているためです。実際の販売部数と大きくかけ離れ、数倍にも水増しされた「発行部数」を元に、広告料収入を得てきた経緯があります。メディコムでは、その悪習を否定し、「月刊タウン情報トクシマ」「月刊タウン情報CU」「徳島人」「結婚しちゃお!」「徳島の家」の実売部数を創刊号以来、発表しつづけています。 -
ちゃんと知っておきたい知識!さらら9/4号 ■家族・知人が目の前で倒れた時、どうすれば?
○「救急車が到着する前」が大事な症例&応急処置について
■理想のふきんがあったわよ〜!
じめじめ、拭いたら水分のスジが残る、なかなか乾かん…台ふきの悩みが解決?
■子どものおもちゃ収納、必殺ワザ
■不器用さんもOK!のTシャツ切るだけアレンジ術
■実は得?ちょっとお高い調味料