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2010年4月

  • バカロードその11 最長520キロレース
    文=坂東良晃(タウトク編集人、1967生まれ。18〜21歳の頃、日本列島徒歩縦断、アフリカ大陸徒歩横断など約1万キロを踏破。男四十にして再びバカ道を歩む、か?)

     とゆーわけで、日本列島つづうらうら行楽たけなわの黄金週間に、520キロをぶっ通しで走るウルトラマラソン・レースに出場する。
     ひと言に520キロと申し上げても、どれっくらいのスケールなのか自分自身ピンときていない。フルマラソンの42.195キロなら「とても長いですよ」と他人に説明できる。徳島県庁を起点に由岐や脇町まで2本の脚で移動すると考えれば、なるほど納得のいく遠さだ。レース中めいっぱいのスピードで押していくと、28キロあたりで残り15キロが「永遠か!」と感じるときがあるしね。
     ましてやウルトラマラソンの100キロなんて、途方もなく彼方にフィニッシュ会場がありすぎて、70キロまで達しないと距離の持つ意味が理解できない。1キロ6分で走り続けたら10時間かかる・・・頭の中で理解可能な100キロとはそのような把握の仕方でしかない。つまり空間の広がりではなく、自分の実働時間と疲労度の記憶である。「これくらい痛くて身体が動かなくなるのが100キロ」という感覚だけは明瞭なのだ。
     さて520キロともなると、あらゆる想像の範囲を超えてしまい、長いのか短いのか、ツラいのか楽しいのか想いが及ばない。フルマラソンがハーフマラソンの倍キツいのではないように、520キロが100キロの5倍大変なのではないだろう。きっと何十倍ものダメージが押し寄せるのだ。でも、まだ走っていない現段階では「何十倍」ってどんなもんだかわからない。
     ともかく、そのような意味不明な長距離レースに挑戦するわけだ。
     「日本横断・川の道フットレース」は、東京・長野・新潟間の520キロメートルを制限時間132時間のうちに走りきる日本最長級のウルトラマラソンだ。制限時間132時間といっても、520キロという距離と同様つかみどころのない数字だ。5日間と半日と聞いて何となくわかる。
     4月30日朝9時に東京湾岸の葛西臨海公園を出発し、初日は荒川沿いの河川敷を遡上する。都心を抜けしばらく埼玉の市街地を走り、徐々に奥秩父の山岳地帯へと足を踏み入れる。最初の関門である170キロ地点(埼玉県秩父市)を36時間以内に越えなくてはならない。
     関門には、ランナーのために宿泊施設が用意されている。「こまどり荘」という山荘風の宿は、小ぶりだがお風呂を備え、食事も提供される。雑魚寝ながら布団が敷かれた仮眠所もある。ここでランナーは2時間以上の休憩が義務づけられる。関門チェック後、2時間は出発してはならないのだ。全行程のうち、このような関門+宿泊施設が3カ所ある。1カ所につき2時間、合計6時間は強制的に休憩させる算段。つまり最低でも6時間の仮眠がとれる。といっても1週間近いレースで睡眠が合計6時間なんて化け物は存在しない。各宿で3〜4時間は眠らなければ体力が回復しないと想定する。
     「こまどり荘」を出ると埼玉・長野県境をめざし山深い中津川林道を登る。標高1828メートルの三国峠越えは試練となる。深夜ならば気温は0度前後まで下がり、凍てつく。クマを筆頭に野生動物も多く現れるという。すでに脚に障害が発生していたとしたら、そうとう悲しい思いをしながら、闇夜の深い森を彷徨わねばならない。野性のシカやイノシシが突進してきたらどうしよう。どうしようもないと思うけど・・・。ここがレース前半の山場だ。
     第二関門は265キロ地点(長野県小諸市)。制限時間は63時間、つまり2日と15時間だ。宿泊施設は「小諸グランドキャッスルホテル」。市街地にあるシティホテルで、展望のいい湯量豊富な天然温泉がある。265キロも走った直後に天然温泉なんかに浸かったら気絶してしまわないだろうか。用心しながら足の指先からそろーっと入ろうと思う。
     出発から320キロ付近で長野市の市街地に駆け下り(駆けられる脚が残っておればの話)、ありがたくも信州善光寺本堂をお参りし(こういったプチ・イベント感に主催者の温かさというか粋なはからいを感じる)、いよいよ新潟県境、信濃川の最上流域をめざす。
     最後の関門は394キロ地点(新潟県津南町)。制限98時間以内に「深雪会館」を目指す。純和風の素朴な駅前旅館だ。ここまで4日間で約400キロを走るってんだから1日平均100キロペース。4日続けて100キロレースをやるって考えればいいか。
     最終関門をクリアすると、あとは信濃川沿いを日本海目指しひたすら北上する。レース終盤は日本海の情景をとにかく渇望しつづけるだろう。日本海に対面し長い苦難の旅を終えることができるからだ。疲労の極で波音の幻聴など聴きはしまいか。きっと一日中幻聴が鳴り響くんだろね。i-podいらずのイージー・リスニングサービスだと前向きに捉えよう。
     ゴールは新潟市、フィニッシュ地点は「ホンマ健康ランド」という24時間営業の大型クアハウスである。11種類のお風呂が疲れた・・・いや壊れたランナーの心身を癒してくれる。過去の参加者のレポートを読むと、極度の疲労から温泉の湯舟で溺れそうになったり、用を済ませたとたんトイレの入口の床で眠りこんだりと、一見ほのぼのとした修羅場が展開されている。
     フィニッシュテープが用意される最後の時刻は5月5日夜9時。昨年は50人が出走し、38人が完走した。この大会に出場するには過去に120キロ以上のウルトラマラソン完走経験が必要であるから、それなりの強者である。そんなランナーでも4人に1人の比率で途中リタイアする厳しさだ。足の裏、ヒザ、股関節、そして全身の筋肉、そのすべてに確実に故障が発生する。心身健康な状態で走れる可能性は0.1%もない。血尿、幻覚、幻聴、意識混濁は異常事態ではなく、乗り越えるべき山のひとつにすぎない。
     凡庸な中年男子がこのような超過酷な環境に放り込まれたとき、どれほどブザマな軟弱ハートをさらけ出し、いかなる歴史的ヘマをやらかすのか。そのサディスティック・リポートは次回をおっ楽しみに〜。(つづく)
  • 初夏の徳島を食べつくし遊びつくし!タウトク5月号発売♪ 1005tautoku★最新グルメを大研究★
     ウワサの台湾ラーメン、居酒屋を始めた仕出屋さんのピザなどなど、新店、新メニューその他もろもろ徳島グルメの最先端を総ざらい! マイグルメリストの更新に、どうぞお使いください!
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  • さらら4月15日号を読んで、マネーに強くなろう! tokushima-salala0415金は天下の回りもの、とは言っても何もせずにお金はなかなか貯まらないもの。「貯金したい」「無駄な出費をおさえたい」と奮起するみなさんのために、今回は専門家の方にお金との上手な付き合い方について話を聞きました!

    そして、好評連載中のさらランキング! 今回のテーマは、疲れた時のリフレッシュ法。あわただしい日々にお疲れ気味のみなさんのために、ストレスなんかぶっとばして元気になれる方法を集めました。これを参考にして、明日からまたがんばりましょう!
  • 月刊タウン情報トクシマ3月号 実売部数報告1003_タウトク部数報告.pdf

    月刊タウン情報トクシマ3月号 実売部数を報告します。タウトク3月号の売部数は、
    7654部でした。詳しくは、上部のファイルをクリックしてください。
    メディコムは、「月刊タウン情報トクシマ」「月刊タウン情報CU*」「結婚しちゃお!」の実売部数を創刊号から発表しつづけています。

    雑誌の実売部数を発行号ごとに速報として発表している出版社は、当社以外では日本には一社もありません。実売部数は、シェア占有率を算出し、媒体影響力をはかるうえで最も重要な数値です。他の一般的な業界と同様に、出版をなりわいとする業界でも正確な情報開示がなされるような動きがあるべきだと考えています。わたしたちの取り組みは小さな一歩ですが、いつかスタンダードなものになると信じています。
  • CU5月号はとくしま、女の夜遊び特集! tokushima-cu1005
    第1特集 【とくしま、女の夜遊び】
    みなさん、夜、思いっきり遊んでますか!?
    今、徳島の夜がかなり熱いのです。新しいダイニングやバーが続々と登場していたり、スイーツやカフェドリンクが充実して夜カフェとしても利用できるお店ができていたり…。ほかにも、夜景がきれいなスポット、B級グルメ、クラブやイベントなど注目すべきトピックが満載なのです。男前がいるお店もあるんです! ゆったりと美食やお酒、会話を楽しめる夜の時間がCUを見ればもっと楽しいものになりますよ。

  • バカロードその10 脳みそが人魂 〜宮古島、2日連続100キロ〜
    文=坂東良晃(タウトク編集人、1967生まれ。18〜21歳の頃、日本列島徒歩縦断、アフリカ大陸徒歩横断など約1万キロを踏破。男四十にして再びバカ道を歩む、か?)

    (前回の話=沖縄・宮古島で100キロマラソン×2日連続の初日。10キロ過ぎまで先頭集団につくが、あえなく引き離されたあげく、暗闇に道を失い途方にくれる)
     正規コースに戻るまであと何キロあるんだろう? 暗闇のなかを夢中で脚を回転させているんだけど、走っても走っても前に進んでいる気がしない。明確な目標地点もなく速いレースペースで走るって行為は、こんなわけわからん状態なんだな。
     思考回路が奇妙にねじれている。数分前まで絶好調で走っていたハイな気分の残渣が体内にある。脳内麻薬であるエンドルフィンの分泌がストップしてない。一方で、二度とシリアス・レースには加われないという哀しみがひたひたと満ちてゆく。引き返しながらも、いまだにこの道が本当に間違っているのかどうか疑っている。ひたすら真っ直ぐ走ってきたのに、どこに曲がり角があったってぇの? 記憶不明瞭で思い出せない。パッパッと思考がうまく切り替わらない。
     いま、ふつうの人なら何を考えるのか、考えてみることにする。考えるべきは、ゴールまでの80数キロを何を支えに走ろうか、だ。2日連続100キロをこなすためにやってきたんだから、何時間かかっても走るべきだ、と人間として正しく思うことにする。しかし「思うことにする」と「思う」は違う。まったくそうは思えないのである。やっぱダメだ〜。
     やがて、前方にランナーの長い列が見えてくる。腕時計を見る。30分以上も迷走していたようだ。道を誤った地点が判明した。ぼくは正規コースの県道を直進せず、三叉路をゆるやかにカーブして「砂山ビーチ」へと向かう道に入ってしまったのだ。砂山ビーチは宮古島随一の観光地であり、大型バスも通れる立派な道が続いている。明るいオレンジの街灯の列は、県道沿いにではなく、砂山ビーチへと連なっている。視力が極端に悪いぼくは、三叉路に設けられた看板に気づかず、街灯の照明にだけ気を取られて前進したのだ。
     夜が水平線の底から白く変わっていく。モノクロだった宮古島の輪郭がじわじわと着色される。景色が明瞭になっていくとともに、レースを失敗したという現実感がしのび寄る。両脚に重い濡れ雑巾が巻きついているよう。全身のどの筋肉にも力が入らない。意識しないと正しいフォームを維持できない。気を抜くとゼンマイ仕掛けの人形のようにギクシャクとしか走れない。
     今日は負け犬だワンワン、とつぶやいてみる。ワンワンワワン、ニャンニャンニャニャン。理屈では説明できない敗北感と罪悪と幻滅に苛まれ、ワンワンワン、ニャンニャンニャンと声を出して感情を抑える。ぼくは、こんな遠くの島まで来て、いったい何をやってるんだろう? 
     スタートからわずか20キロも進まない場所で、ぼくは走るのを止めた。
         □
     翌早朝5時。2日連続の2日目。「宮古島100kmワイドーマラソン」のスタート会場は華やかなイルミネーションに彩られている。開会イベントを仕切るDJが弁舌なめらかにランナーを鼓舞する。五輪ランナーの有森裕子氏が芸能人はだしの達者な挨拶をする。昨日の「宮古島ウルトラ遠足」の和気あいあいとした会場風景とは別天地である。
     定刻スタート。拡声器を積んだ先導車が先頭ランナーを誘導する。道路の要所には目映い投光機が配置されている。道沿いの体育館やグラウンドなど公共施設の照明が点灯されている。道に迷わないよう、あらゆる交差点にスタッフが配置されている。夜明け前ながらとても走りやすい。
     つまり「宮古島ワイドー」は極めて管理レベルの高いマラソン大会であり、ランナーによる自己管理型の「宮古島ウルトラ遠足」と対象を成すのだ。本来あるべきマラソンレースの姿とは、どちらなのだろうか。大会の多くは地方自治体が主催している。そこでは事故は許されないし、一定以上の安全が担保されていなければならない。道路規制を行い、巨大なエイドが設けられ、Tシャツやらパンフやらお弁当やら前夜祭やらと、莫大な物資を消費する。税金を投入しているだけあり、次年度も大会が続くかどうかは経済効果で計られたりする。その状況にランナーたちは慣れ、もっと便利に、もっと豊かにとリクエストをする。本来、シューズとウエアと小銭さえあれば、どんな道でも遠くまで走っていけるのにね。
     ・・・いつになく真面目なことを考えながら走っていると、前にいるランナーが5人だけになっていた。1人が独走し、4人が横一列で走っている。彼らのナンバーカードは「1」「3」「5」。若い奇数ナンバーは昨年の男子優勝者、準優勝者らに与えられたものである。7時間30分でゴールできるトップレベルのランナーたちだ。そんなのについていってどうするんだ? しかし、またしても有頂天気分が舞い降りる。先頭集団にいることのエクスタシーが理性を狂わせる。ぼくは本当に愚かで、学習力に乏しい人間なのだ。
     10キロを46分で通過。対岸にあるはずの来間島は闇の彼方に姿を見せない。来間大橋1690メートルを渡り、島内で折り返す。15キロ地点で6位、20キロは10位。キロ4分台の後半で進むが、順位を徐々に下げていく。むろん自らの実力をわきまえない自爆走だ。フルマラソンの自己ベストのペースより早いんである。
     明らかなオーバーペースがたたり30キロでハンガーノックがやってきた。同時に体調が悪化していく。間断なく吐き気に襲われては、空ゲロを何度も吐く。腹がグルグルと鳴りはじめ、漏らしそうになる。漏れる、もう漏れる・・・という大波・小波が大腸に押し寄せては引く。暴発寸前の腹を抱え、尻の括約筋に神経とエネルギーを集中させながら走る。トイレを見つけるたびに飛び込み、便意を解放する。
     30キロでこんな苦しくて、あと70キロも走れるだろうか。この苦しさが収まることなどあるのだろうか。後半もっと増していくのではないか。「市民ランナーはマラソンを楽しまなくっちゃ!」というごく一般的な命題が、呪いの言葉のようにコダマする。この苦しみを耐えきって100キロ完走できたら、後に残る大きな経験値になるんだろうか。
     リタイアの誘惑に支配される。もし今、収容車がやってきて係員に「ゴールまで乗っていった方がいいですよ」と甘く誘惑されたら、即座ににじり寄りそうだ。
     長さ1425メートルの海上橋・池間大橋を渡り、島をぐるっと一周する途中、小高い丘のうえに42.195キロ地点を表示する看板があった。通過タイムは3時間58分45秒、サブフォー達成だ。誰も見ていないことを確認し、ヤッター!と小さくバンザイをしてみる。ゲロ腹&ゲリ腹でも4時間切れるんだという点を高く自己評価し、満足感に包まれる。フルならここでゴールして、大の字になって寝ころんで、豚汁とかコカコーラとか好きなだけ飲んで休憩できるのにな、とさみしく思う。
     50キロの通過は4時間49分。サブテン(10時間切り)は相当あやしい状況になってきた。すでにキロ6分ペースが守れていない。計算上はアウトである。
     中間点に荷物受け取り大エイドがある。主催者から支給された大きな荷物袋の中には、エクレアを3個入れてある。地べたに腰をおろし、靴を脱ぎ、熱くなった足の裏を地面にべったり着けて冷やす。そのまま後方に寝ころがって、曇天の空と対峙しながら、エクレア3個を口につめこみ喉に流し込む。「足を冷やす」「寝ころぶ」「カロリー補給する」。すべての行動を同時に行い、時間短縮をはかる。この大エイドでの休憩は3分以内。それ以上休むと、二度と立ち上がれない気がするから。喉から胃までの食道が3個のエクレアでつながると、脚を大きく天に振り上げて反動で起き上がる。明るい兆しの見えない後半戦のはじまりだ。
     フルマラソンで言う「30キロから押していく」粘りとはほど遠い、「あるがまま」を受け入れざるを得ない状態。今、出力できるエネルギーはこれ以上も以下もなく、走るスピードもただ繰り出す脚の運びにまかせるだけ。
     55キロからは1人旅となった。前にも後ろにもランナーは見えない。メリハリのないゆるい登り坂と、だらだらした下り坂がエンドレスで繰り返される。さとうきび畑や牧草地のなかを、ギラギラ南洋の日に焼かれ、強い横風にあおられる。イソップ寓話の旅人のようである。あの話はどんな結末だったっけ。北風と太陽が旅人のコートを脱がせる勝負をして、太陽が勝ったって話だったよな。そこからどんな教訓が得られるんだっけ? 太陽を神と崇め、ありがたがる習性はラテン語文化圏だけじゃなくて世界共通だから、だから、それでどうした、うー。思考力が低下しているので、こんな無意味な自問自答をひたすら唱える。
     100キロレースの後半・・・ぼくの場合70キロあたりから、理解可能な苦しさの範囲を通り越してしまい、何が何だかわからなくなる。肉体と外界の境界線があいまいになり、いま走っているという感覚がなくなる。地上から160センチあたりの位置を、ぼくの脳みそというか意識だけがふわふわと空中を浮遊しながら前進する。存在としては、人魂(ひとだま)みたいなもんである。
     毎度こんな精神状態に投入すると、ウルトラマラソンは果たしてスポーツと呼ぶべきカテゴリーに属するのかどうか、検討が必要ではないかと思う。息を止めて水深数十メートルから百メートル以上も潜るフリーダイビングや、厳冬期の高山で岩壁登攀を行うアルパインクライミングを、「スポーツ」と称すれば腰の座りが悪いのと同様に、「ウルトラマラソンってスポーツですか?」と問われれば返答に迷う。
     そこには極限の競技性がある。最も重要な局面では、生命を賭したり、肉体の大きな損傷も覚悟のうえで挑む。それってスポーツなんだろうか?
     一方で、競技性とは正反対の、ただひたすら自分の内面を見つめる行為も伴う。宗教的には内観や瞑想という精神状態に似ている。一流のアスリートがある瞬間入る研ぎ澄まされたコンセントレーションの世界ではなく、脱力し、心拍数を落とした状態での意識の解脱。「今すぐ逃げ出したい」ほどの苦しい状態が6時間も7時間も続くと、意図せず自然入水してしまうスキゾイドの世界。これまたスポーツとは言い難い心象風景。
     で、この度は・・・・・・60キロまでは肉体的苦痛に苛まれ、60キロからは人魂たる無心の境地にひたりながらゴールに近づいていった。今日もまた捕らえどころのないウルトラマラソンの世界に没した。前半も中盤も後半も自分をコントロールできず、心の整理のつかないままにゴール会場が迫ってきやがる。
     11時間05分17秒。ゴールゲートの下で自分としては最もカッコイイと思われるガッツポーズを撮影用にキメる。やれやれ現世に到着だ。
     あと何べん100キロレースをこなせば、あやふやなこの世界の中核にたどりつけるのだろうか。
  • 毎日の生活に欠かせないスーパーの情報てんこもり! さらら4月1日号 salala0401日々変化するスーパーマーケット。不動の人気を誇る売れ筋商品、今後売れるかも!? な期待の商品、これから注目の新商品などのほか、きらりと輝く素敵な店員さん、見逃せないイベント情報など、気になる情報を満載でお届け。さらに嬉しい読者特典付! 行かない手はないっ!

    また、表紙のさらランキングは「愛してやまないお弁当のおかずランキング」。ウインナー、唐揚げ、だし巻き玉子などの定番の具、みんなどんなアイデア&レシピで作ってる? こだわりややり方を聞いていると、う〜ん食べたくなってきた!