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2007年10月16日

雑誌をつくろう そのハチ「無精論」
文=坂東良晃(タウトク編集人)

あらゆることが面倒くさい。できることなら何もしたくないが、何もしないのも面倒くさい。平均的な市民として生きていくためには、アレコレしなくてはならない手続きがある。それならば最小限の労力で、最大限の成果を生み出せばいい。

 食べる手間を最小限にする方法。
 できるだけ食べないというのが理想である。食べなければ、消費もせず、洗い物も出さず、ウンコもでないから便所で水洗を使わなくてもよい。事実ぼくは1日1食か、3日で2食くらいしか食べていない。
 だが悲しいかな、生きている限りまったく食べないというわけにもいけない。そこで、極限まで手間のかからない食事方法をたしなんでいる。食事は座って食べるから時間がかかるのである。立って食べればまず1分以内に終わるのだ。立ち飲み、立ち食いは日本の文化でもある。首都東京ではサラリーマンが1分1秒を惜しんで立ち食いそばでカロリー補給をしている。あるいはアフター5の「ワンカップ立ち飲み屋さん」にはOLが群れ、先端のグルメカルチャーなどともてはやされたりもする。
 だからぼくは、自宅での食事は台所の流しの前で立ったまま食べる。お皿をたくさん使うと洗い物や片付けが面倒だから、1枚の皿にすべてのおかずを盛る。決してガサツではない。インドネシアでは、ごはんに惣菜をたくさん盛りつけたものが「ナシチャンプルー」と呼ばれ、国民的料理として庶民に愛されている。
 だが1枚の皿とはいえ洗い物をするのは面倒である。そんなときは、炊飯ジャーのごはんに直接おかずをのせて食べればよいのだ。保温が効いたままのジャーごはんは温かく、食事中も冷めないという利点がある。あるいは炒め物なら、1枚のフライパンですべてを完結させる。まず1品目から調理をはじめ7割ほど仕上がったら隅に寄せていく。空いたスペースで新たな食材を炒める。こうやって時間差で数種のおかずを完成させ、最後に白飯をぶっかけ、フライパンから直接食べるのだ。
 こうやって他品目のメニューを無駄なくつつがなく食べているわけだが、本来食事とは白飯プラス一汁一菜でよいと考える。この豊食の時代にひもじいと思われるかも知れないが、江戸時代以前の日本人は大根汁に麦粥やひえ飯がご馳走だったのであり、労働による消耗が明らかに江戸の農民より少ない現代人であるぼくの体が、それ以上に豪華な食事を必要とする理由がない。
 落語の下りにもよく登場する「隣長屋から流れてくる匂いをおかずにメシを食えばいい」も悪くないと思い、蒲焼きの匂いをかぎながらごはんオンリーで食事をする実験をしたことがあるが、どうも満たされない気分に陥り失敗した。
 総合的に判断して、炊飯ジャーの白飯にカツオブシや漬け物を乗せたものが理想的な晩菜である。調理時間10秒、食事30秒、洗い物ゼロである。

 つぎに入浴について語りたい。ぼくは他人に風呂に入るようなまっとうな生活を送っていないと思われがちだが、実は風呂好きである。1日に3回は水浴びをする。朝のトレーニングの後、夜のトレーニングの後、そして寝る前である。こう書くと1日中遊んでいるようだが、これ以外の時間はずっと仕事をしているので問題はなかろう。
 風呂場では、頭→身体→腕→脚などといちいち順番に洗うのは面倒くさいので、全身を同時に洗う。シャンプーをドバドバ髪の毛にふりかけ、3度ほど手でかき回したらシャワーで流す。その際に身体を伝って流れるシャンプーの成分で全身を洗う。タオルは使わず手のひらでこするだけだ。タオルをしぼったり乾かしたりするのが面倒だからだ。さらには、風呂場を流れるシャンプー廃水を使って床をゴシゴシ掃除する。毎日こすることによって床のぬめり気を取り、カビの発生を防ぐ。服を脱いでから所用1分でこれら作業を終える。
 手を抜きすぎて不潔だなんて思わないでいただきたい。世界の幾多の民族のうち、毎日風呂に入ったりシャワーを浴びたりする人たちが何割いるというのか。おそらく30%もいないだろう。そもそも「湯船」という装置が家庭の浴場に存在し、そこに湯をためて浸かる・・・なんて特種な習慣のある民族は、日本人と欧米のブルジョア階級以外にどれほどいるというのか? いたら教えてほしい。アジア中央部の乾燥地帯に住む人びとは、一生に2度しか身体を洗わないという。産まれたときに身体を洗ううぶ湯と、死んだときに身を清める水だけだ。ぼくが長く旅したアフリカ中央部にももちろん風呂などはなく、バスタイムといえば堰き止めた川に飛び込むだけだ。それが世界の標準と考えれば1日3回、1分ずつと言えど身体を洗う行為は潔癖性にも近い。これは無精とは言えないかもしれないな。

 さてぼくが最も嫌いな作業、着替えについて説明しよう。そもそもぼくは「服」という装置というか記号がニガ手である。どんな服も自分に似合っていると実感できず、気候とか流行とかTPOに合わせて服を選ぶのも無益な気がして身が入らない。「人は見た目が9割」とは言われるが、ハナから自分の印象など9割方悪いものだと決めているから気楽だ。
 できることなら1年中服のない生活・・・ハダカで暮らしたいと思っており、ぶじ年金をいただける年頃まで生きておれば、1カ月5000円もあれば贅沢に暮らせて朝から晩までハダカでいられる南の島に移り住みたいと考えている。しかしわが国の企業人にとってハダカに市民権はない。仕方なく服を着ることにしているが、その労力は極限までカットしたいものである。
 話は横道に逸れるが、頼りない自民党政権で唯一すてきな政策を打ち立てたのがクールビズである。
 日本のような湿気ムンムンな国で、長袖シャツにネクタイを締め、ジャケットを羽織るのが企業人の正装だなんてムチャである。スーツにしろネクタイにしろ起源をたどれば欧州の軍服に行き着く。あるいは現在のフォーマルスタイルの原型を生み出したのは、北海道並みの緯度にあって湿度も気温も低い英仏である。
 日本人は、わが邦の気候風土に合った羽織ハカマが長らく正装だったはずだ。維新の後に「散髪脱刀令」が布告され、身分制度の象徴たるチョンマゲを切り落としザンギリ頭を叩いて文明開化を実感したのは悪いことではない。しかし同時にネクタイや革靴といった西欧文化を導入したのはいただけない。湿った国で革靴などはくから、白癬菌つまり水虫菌が国家的風土病へと立身出世するハメに陥ったのだ。自民党が半袖シャツやノーネクタイを推奨したおかけで、憎むべき着替えの手間が半分になったのはありがたい。一方で民主党の西岡武夫が参院でネクタイ着用を義務づけようとしたが、賛同する者も現れず提案を撤回した。何でも反対すればいいってもんじゃない、よい気味である。
 横道に逸れすぎたようだ。ぼくの着替え方法を説明しよう。これは「洗濯をする→物干し竿に干す→洗濯物を取り込む→アイロンを掛ける→服をたたむ→タンスに収納する→タンスから取り出す→服を着る」という一連の流れを革命的にショートカットする方法である。ぼくは次の段取りしか踏まない。「洗濯をする→物干し竿に干す→服を着る」。つまり、着替えはすべて物干し台(ベランダ)で行うのである。女性には難しい行為だろうが、男だから恥ずかしくもなんともない。フリチンを恥ずかしがるようでは日本男児とは言えぬ。もちろん着衣作業をすばやく混乱なく進行させるために、洗濯物を干す段階で、パンツ、つくした、シャツ、ズボンなどと、種別に分類して干しておくのである。シャツは、できるだけシワにならないようにパンパンと伸ばしておく。形質安定シャツをハンガーに吊しておけば、アイロンが必要なほどのシワは入らない。
 これなら着替えにかける時間は1分程度ですむ。いったんタンスに取り込まないから、直射日光にさらされた服はパリッと乾燥している。そして、洗濯物を取り込みアイロンを掛け服をたたんでタンスに丁寧に入れるという、紳士淑女が30分以上かかる作業をいっさい行わなくてよい。こりゃ最高だ。

 こんな風に生活のあらゆるシーンにおいて、無精道を突き進んでいる。
 便所では、歯を磨きながらウンコをし、ゲーテ格言集を読みながら、思いついたアイデアを白スペースにメモする。ゲーテ以上に便所に合う思想家を知らない。
 ハナクソは少しずつとらず、鼻の穴に濡れタオルをつっこんでグリグリまわし、まとめて1週間分とっておく。
 おにぎりは、握ったものをお皿に並べず、握った瞬間に食べる。
 寝返りを打ったときに枕を移動させるのが面倒くさいから、どの位置に寝返りを打ってもいいように、枕を10個ほど布団のまわりに並べておく。
 酒をちびちび飲んで酔っぱらうのを待つのは時間のムダだから、10キロ走ったあとに凍らせたウォッカを瓶のままラッパ飲みする。3分で酔っぱらう。無粋ではない。シベリア鉄道を旅したときロシア人たちはそうやって晩酌を楽しんでいた。

 1時間の作業を1分に濃縮して時間を余らせても、趣味を謳歌する素養もなく、花宴を愉しむ粋も知らぬ。もめごとを鎮める才もなく、世界から地雷を撤去することもできぬ。人さま並みにこなせることは何もなく、本をつくる以外にやることはなく、やれることもない。人生をしごく単純に構成するために、よぶんなゼイ肉をガリガリ削るように毎日を無精に生きる。

2007年10月15日

CU11月号で、思わず笑顔になっちゃうごちそうを新発見! tokushima-cu0711☆特集1☆ 今日こそ食べたいっ! うわさの幸せメニュー
見た瞬間、口に入れた瞬間…あ〜幸せ。と心から思える「幸せメニュー」たち。
最近ウワサのあの新店から大人気老舗店まで「こんなんあったんじゃ!」的、最新ごちそうニュースをお届けします。

休みの日にどこか遠出したい。しかも今まで行ったことがない場所へ…!
そう思ったら…

2007年10月04日

フリーペーパーさらら10月4日号、発行しました! salala1004今号はさらら創刊10周年を記念として、ページ数を32ページに増やしてお届けしています。
巻頭特集は、「さららひと技グランプリ ザ・ベストテン!」。さらら読者から寄せられた家事アイデアから10人の方にグランプリを決定しました。おいしいおにぎりの作り方、5分でできるうまうまレシピ、アイロンがけを省く方法、使用済み牛乳パックの再利用法など、10テーマに寄せられた、きらりとひかるアイデアたち。
今すぐ参考にしたい内容ばかりです!

2007年10月03日

月刊タウン情報CU*9月号 実売部数報告 cu0709_busuu.jpg cu0709suii.jpg

月刊タウン情報CU*9月号 実売部数報告です。
タウン情報CU*9月号の売部数は、
7692部でした。
詳しくは、上部に表記してある画像をクリックしてください。
メディコムでは、自社制作している
「月刊タウン情報CU*」「月刊タウン情報トクシマ」「結婚しちゃお!」
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月刊タウン情報トクシマ9月号 実売部数報告 tautoku0709_busuu.jpg tautoku0709suii.jpg

月刊タウン情報トクシマ9月号 実売部数報告です。
タウン情報トクシマ9月号の売部数は、
11416部でした。
詳しくは、上部に表記してある画像をクリックしてください。
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2007年09月28日

食欲の秋!タウトク10月号で満喫♪ tokushima-0710☆特集1☆ 間違いなくおいしいメニュー
オムライス、ビーフシチュー、ハンバーグ、グラタン、コロッケ、ハヤシライス…徳島の人気の一品、そのおいしさのヒミツを探ります!

☆特集2☆ 秋の徳島まる遊び
秋といえば食欲の秋!芸術の秋!
秋まつりや花火、とれたての山の幸、評判のいい朝市・新鮮市、秋の新作スウィーツ、秋の味覚狩り、サンマに太刀魚をはじめ旬の魚、文庫本を持って乗る列車の旅などなど、徳島の秋を思いっきり楽しんじゃおう!

2007年09月21日

「ごはん党が愛する店」好評発売中 100book4ふっくら炊き上がったごはんのいい香り。
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そんなごはん党が愛さずにはいられないお店を100件をご紹介。
とくしま100book「ごはん党が愛する店」で
あなたの食欲を満たしてください。

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徳島県内の書店やコンビニなどで好評発売中です。1冊680円。

2007年09月20日

フリーペーパーさらら9月20日号発行! salala0920今回の特集は、「たくさんの心のこもった てづくりもの!」。徳島の授産施設や共同作業所の人たちがつくるかわいい小物・お弁当・野菜などをご紹介。
たとえば…ぷりぷり&コリコリの歯ごたえがたまらないしいたけ、藍染の風呂敷に包んで配達している日替わり弁当、りんごやにんじんなど素材を生かしたパウンドケーキ、新作のキュートなエコバッグなど。ほかにも、おいしいスイーツが食べられるカフェ、おにぎりの形をしたパン(!)、糸から染めて織られた布製品など、みんなのアイデアと気持ちがこもったものたちが満載です。

2007年09月17日

「行きつけにしたいツウの店」教えちゃいます100book3食ツウたちの舌を唸らせて何度も足を運ぶあのお店。
そんなツウな店を100件を集めた
とくしま100book「行きつけにしたいツウの店」。
ぜひ、あなたのお気に入りのお店を見つけてください。

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2007年09月11日

いつもお世話になっております「焼そば専門店 突貫亭」様より、新メニューである突貫亭そば飯を差し入れしていただきました♪ tokushima-sobamesi01 tokushima-sobamesi02 tokushima-sobamesi03いつもお世話になっております「焼そば専門店 突貫亭」様より、新メニューである突貫亭そば飯を差し入れしていただきました♪焼そばももちろんおいしいですが、特製ソースはご飯にもばっちり合います!いつものごとく、先を争って食べるスタッフの図…ありがとうございました☆実はコチラ、現在発売中のタウトク9月号の人気企画「半額ぶるまい」(19ページ)にて、取材させていただいたメニューなんです。注文時に「タウトクを見た」と言えば680円→340円で食べられるというお得な企画!9月30日までなのでお店へ急げ〜!

2007年09月10日

「誘われたいお店」が見つかるとくしま100book 100book2特別な日はステキなお店に誘われたい。
そんなときはこの本をそっと相手に手渡して。
とくしま100book「女性が誘われたい店」。
思い出の場所がひとつずつ増えていきそうな、
誘われたくなるお店を集めました。

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2007年09月07日

とくしま100book、好評発売中! 100book-1「おいしい」がいっぱいつまった
とくしま100book「心ときめく創作料理」。
徳島県内にある創作料理のお店を
100件集めました。
独創的なディッシュの数々を召し上がれ〜。

とくしま100bookシリーズは全部で12冊。
徳島県内の書店やコンビニなどで好評発売中です。1冊680円。

2007年09月05日

月刊タウン情報トクシマ8月号 実売部数報告 tautoku0708_busuu.jpg tautoku0708suii.jpg

月刊タウン情報トクシマ8月号 実売部数報告です。
タウン情報トクシマ8月号の売部数は、
11154部でした。
詳しくは、上部に表記してある画像をクリックしてください。
メディコムでは、自社制作している
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2007年09月04日

タウトク・オリジナルグッズ 『14得アウトドアギア』完成しました!tautokugea.JPGタウトクのオリジナルグッズ14得アウトドアギア』がついに完成しました! スタイリッシュなシルバーのボディには、缶きり、はさみ、のこぎり、コルク栓抜き、爪やすりなど14アイテムを収納しています。いざというときにきっとお役に立ちます!! 「ほしい!」という方は・・・
月刊タウン情報CU*8月号 実売部数報告 cu0708_busuu.jpg cu0708suii.jpg

月刊タウン情報CU*8月号 実売部数報告です。
タウン情報CU*8月号の売部数は、
6719部でした。
詳しくは、上部に表記してある画像をクリックしてください。
メディコムでは、自社制作している
「月刊タウン情報CU*」「月刊タウン情報トクシマ」「結婚しちゃお!」
の実売部数を発表しております。
タウトク9月号で食べ放題大研究!tautoku9☆特集☆
とくしま食べ放題&バイキング大研究
できたてメニューがテーブルに届くオーダーバイキング、早くも人気爆発の新店イタリアンビュッフェ、ジェラートやケーキがずらりと並ぶスイーツバイキング、カクテル・焼酎の飲み放題など、徳島の食べ放題のお店を大公開。なんと、嬉しいタウトク読者特典付!!

☆特集2☆ 徳島の素敵な宿51選
らくらく到着して、たっぷりの時間をぜいたくに過ごす。これが近場の宿を楽しむ最大のポイント。海や山や里で、じっくりと郷土料理を堪能しながら徳島の自然を思う存分満喫するお宿をご紹介します。

2007年08月16日

フリーペーパーさらら8月16日号発行! salala0816今回の特集は、徳島に住む素敵な夫たち。

テニスに夢中、仕事にかける姿、子どもと阿波おどりを踊りたいという夢を語るパパ…さまざまな魅力を放つ、徳島の既婚男性12人にインタビューしました。
仕事への想い、今がんばっていることのほか、結婚生活をうまくやっていく秘訣など…刺激とヒントをもらえます。


CU9月号は、心ときめく個室がある料理店が大集合! tokushima-cu0709☆特集☆
素敵な個室がある料理店

ファミリー向けのほんわかアットホームな個室、居心地の良いまったり夜個室、デートにぴったりのラブシート席など
家族と、友だちと、恋人と、シーンに合わせて選びたい素敵空間が広がる個室がたくさん!
味わう料理もより一層美味しくなりそう♪
そして、要チェックの第2特集はというと…

2007年08月13日

雑誌をつくろう そのシチ「二十日鼠の毎日」
文=坂東良晃(タウトク編集人)

 よく部下に怒られる。こんなにしょっちゅう部下に怒られている人っているんだろうか? いっかい日本じゅうの上司と呼ばれてる人とミーティングしてみたい。「そちらさまも部下の方に怒られてらっしゃるの?」「もちろんですよ、そちらさまもご苦労が絶えない様子で・・・」なんて意気投合し、おでんでも突っつきあう会があれば幸せだろうな。

 先日は、ぼくの方針に異を申し立てた女性社員が、話し合いの席を断つやいなや、ぼくの仕事部屋のすべての蛍光灯のスイッチを「バチバチッ!」と切って、ドアを蹴とばして出ていってしまった。夜だったのでぼくは真っ暗のなかに取り残された。パソコンのモニタだけが鈍く光る暗闇の中で、ボーゼン自失となりながらも「こんな怒りの表現があるのか」と感銘を受けた。言葉で罵るでもなく、手をあげるでもなく、「電力を使って怒りの大きさを表現する」。こんな芸術的かつ具体的な感情表現を文学といわずして何とする。
 また「彼氏ができないのは会社の仕事が忙しすぎるから」との理屈で経営批判を繰り返す社員らのために、仕方なく高年収の人たちとの合コンの場を提供したわけだが、今度は「合コン相手6人中4人が太かった」「口いっぱいに食べ物をモグモグほおばっていた」などと更に口撃の熱を高め、合コン不発のストレス解消のために出かけた二次会の飲み代を請求しようとする。
 いわゆる「飲みニケーション」というものが嫌いである。部下と飲んでもロクなことがないからだ。だいたい酒を飲めば人は本音を出すから嫌いだ。部下の本音といえば日頃のウップンであり、必ずその刃はこちらに向けられる。感情が高ぶると人はみな手が出るわけで、不満爆発のビンタおよび鉄拳ストレートを浴びるという展開になる。両国橋の路上で2回、紺屋町の阿波踊りからくり時計の横で1回、部下に殴り倒されたことがある。酔っぱらっているのであまり痛さは感じないが、翌朝はだいぶ腫れている。
 「人徳」に溢れた人は一目みればわかる。柔和で物腰やわらかく、人を肩書きで判断しない。それでいて決断力があり、困難の伴う仕事を明るい表情でどんどんこなしていく。ぼくなどはその対局にある。いつも追い詰められた感じのニゴリ目で相手を見つめ、「このボケ!こんな簡単な仕事もできんのんかーッ?」と、罵詈雑言を浴びせ、椅子をケトばす。
 そんなペラペラの人格ゆえ人徳なるものとは無縁であり、部下はどんどん離れていってしまう。手塩にかけて育てた部下は、ぼくに三行半をつきつけると東京や関西の誰もが知る一流企業にあっさりと再就職を決めてしまう。なるほど、それなりに優秀だったわけだ。そしてお盆や正月の前には、帰省がてら我が社にひやかしにやってくる。この間も、東京の広告業界とマスコミ業界で働く2人がやってきて、ひとしきり青山とか代官山とかの地名が登場する社内恋愛の話をしたかと思うと、
 「○○のお客はあの仕事、○億で受注しろって言うんですよ〜」
 「マジ、安っ? そんなん蹴ってやったら〜?」
 なんてケタ違いの話を、ありふれた日常会話のようにくりかえす。
 そんな元部下たちの話を、ぼくは封筒の宛名書きをしながら、ボーゼンと聞いているのである。もしも億単位の受注なんて入ったら、ぼくなら神社を借り切って夏祭りを開き、村人たちにタダ酒をふるまって飲めや歌えやと舞い踊るのに・・・。
 だから、昔の部下が来襲するお盆前後の時期は気が重い。

   □

 これまでの10年間、雑誌やフリーペーパーの創刊に10本くらい関わってきた。1年間で1コ。これからの10年も10本くらいの仕事しかできないのだろうか、と思う。ペースが遅くてイライラするが、このサイクルでしか仕事できないんだから、これくらいの能力なんだろう。やりたいことはたくさんあるってのに、実行するのはきわめてスローペースだ。スピードを上げようとしても思い通りにはいかない。企画書は1時間で書けても、それを実行する人を育てるには何年もかかる。
 自分には、商売人に必要な「前向きな欲」が欠けている。お金が少々貯まると「1カ月5万円もあれば生きていけるから、もう働かなくていいか・・・」と勤労意欲が萎える。人に誉められると舞い上がり自分を見失ってロクでもないことを始めてしまう。人間関係に恵まれると他人に頼ってしまい、なんでもうまくいく気になって結果失敗する。お腹がいっぱいになると思考能力はなくなり、時間がたっぷりあるとくだらないことしか考えなくなる。要するに満足するレベルが低すぎて、すぐ精神的に満ち足りてしまうから、自分を飢餓状態に置いておかないと、なにもやる気がしない無気力状態に陥ってしまう。
 商売上の危機を迎えると少しハイになって頭も少し動きだすのだが、年がら年じゅう商売の危機を迎えてるわけにもいかない。いたって平穏無事なときは朝から晩まで仕事のことを考えてもなんにも出てこないから、生きている気がしなくなる。
 そんなときはムリヤリ身体を動かして、脳みそをこじ開ける。
 今は2日に1回くらいのペースで眉山に登っている。早朝に起きて朝8時頃には山頂にいる。眉山には登山道が10本以上あり、日々ルートを変えれば飽きることはない。山中には無数のケモノ道がある。山腹を縦横に歩いていると、深い渓谷や亜熱帯植物生い茂る密林に迷い込む。野生の動物・・・巨大な野ウサギやイタチ、山ネコなどに遭遇し腰を抜かしそうになる。そんな自然林のなかを米袋を30キロ入れたザックを背負って駆け上がる。人工の階段を登るよりも、木の根や岩が不規則に並ぶ山道の方が洞察力が必要だ。階段登りは単調な繰り返し作業だが、山道は一歩一歩瞬発的に判断する。ミスをするとすっ転んでしまう。
 重い荷物を背負って走ると心拍数が急上昇し、末端の毛細血管まで激しく血が流れる。1分間に何十リットルもの血が心臓から送り出され、酸素を取り込んでまた戻ってくる。そのうち、ゲロをはきたくなるくらいの酸欠になる。頭がクラックラになってヘタりこむ。寝転がった直後は、血流がそのままである。しかし身体は運動を行っていないので、脳みそにガンガン余分な血が流れ込む。キーンという金属音の耳鳴りがして、眼球がぐるぐる不安定に動き、急激に脳が回転しはじめる。「これこれ、この状態!」とうれしくなる。次から次へとアイデアが浮かび、それをメモしておく。合成薬物の力を借りずに、自分の体内作用でトリップ状態を作るのである。地味な活動でしょ!
 深夜仕事から帰ると、1日に録画してあるテレビ番組10本くらいを2時間で見る。基本120倍速で見て、気になる場面は10倍速で見る。報道番組やバラエティ番組の多くは文字テロップがつくので、音声なしの早送りでもだいたい内容がわかる。また、部屋の中で移動する先のすべての場所、トイレ、風呂、台所、そして布団の横には1冊ずつ本を置いておき、どの場所でも読書できるようにしてある。眠気におそわれるまでの数時間、情報を詰め込むだけ詰め込み、果てる。
 睡眠はなるべく取らない。長い睡眠には満足感が伴い、脳が壊れてしまった印象がする。眠っている時間ほどもったいないものはないから、長くても2〜3時間にしておく。その代わりに昼間、なるべく居眠りをする。眠くなったら我慢せずに1分から5分ほど座ったまま眠るのである。これは布団で1時間眠るのに匹敵するほどの効果がある(ように思える)。
 心拍数にしろ睡眠にしろ、快適な状態からはなにも出てこない。自分を追い込まないと脳みそが動かない。酸素欠乏の朦朧状態、脱水カラカラの血液ドロドロ状態・・・身体が危険な感じにならないと、脳みそにスイッチが入らないのである。クライマーズハイの寝不足アタマ。全力で走っているつもりだけど、同んなじ場所でハーハーゼィゼィあえいでいるだけのオリの中の二十日鼠みたいな毎日。部下に部屋じゅうの電気を全部を消されても、闇を駆ける回転木馬のようにぐるぐると次につくる雑誌のことを考えているのである。

2007年08月07日

街のかわいいガイドブック「とくしま100book」12冊同時発売!100book-series2タウトクとCUが贈るとってもかわいい街のガイドブック、それが「とくしま100book」。
1冊ごとに100件ずつの情報を詰め込んだ12冊の本は「おいしいものが食べたい!」「どこかに遊びに行きたい!」などなど尽きることない女のコの楽しみを次々と叶えてくれるはず。
12冊のラインナップは…