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2010年01月10日

バカロードその7 2日連続フル
文=坂東良晃(タウトク編集人、1967生まれ。18〜21歳の頃、日本列島徒歩縦断、アフリカ大陸徒歩横断など約1万キロを踏破。男四十にして再びバカ道を歩む、か?)

 6月からの6カ月で、18本のレースに出た。うちフル7本、100キロ以上5本。
 会社勤めをしながら極限まで脚を酷使する目的は果たせつつあるのだろうか?
 左膝の内側に剣山がはさまっているよな痛み、両方のハムストリングは紙ヤスリでガリガリこすられる違和感。日常歩くのも支障がある状態まで持っていけた。夜は寝床につくと3秒で睡眠に入り、朝は身体が布団にへばりつくような鈍い疲労感で目覚める。うーん、しんどい。確かにしんどいのだが、だからといって、これが1000キロ、2000キロ、5000キロ続けて走る大陸横断の予備トレになっているかといえば、はなはだ疑問である。甘すぎるんじゃないですかな、これは。モハメド・アリと決闘するのに、蝶々を相手にシャドウボクシングして疲労困憊してるレベルの話。もっと追い込みたい。
 追い込み計画その1として2日連続のフルマラソンに挑む。といっても毎日70キロ〜100キロ走るのが日常の超長距離フットレースの世界では、「だからどしたん?」レベルのお話。しかし、ぼくにとっては未知の領域。むろん2日連続を前提に、ゆっくり走るのでは意味がない。初日、2日目ともに自己ベスト目指して全力走。それで身体がどう反応するかを確かめたい。
 ・・・要するにバカである。そんなことやったって、就職難の若者が溢れかえる世の中のためにも、飢餓に瀕したアフリカの少年少女に対しても、1ミリの貢献もできない。誰のためにも何のためにもならない。しかし、そもそも走ってる意味なんていくら考えてもわからないんだし、やるんなら自分を追い込む。それだけ。今日を全力で生きている人間だけが、10年後も全力でいられる。

【初日・つくばマラソン】
 左膝がぶくぶくと浮腫み、真っ直ぐに脚をスイングできない状態。しかし、スタート直後はアドレナリンの分泌が激しいのか、痛みが消えて一瞬絶好調な気がする。それどころか身体が軽く、宙に浮く感覚にとらわれる。直前まで最悪コンディションだと感じていたのがウソのよう。軽い、軽すぎてフフフンと笑える。
 5キロ23分11秒、上出来だ。ふつうに走っていられるだけありがたい。先月の「淀川市民マラソン」ではスタート後500メートルで膝の激痛がやってきて、残り41.695キロずっと地獄を見つづけた。痛みを感じず走れるのは、こんな楽しいことなんだ。
 10キロ46分14秒。ちょっと速すぎるか?でもまあいいか。どうせそのうち膝痛悪魔がやってきて、「さあ地獄の饗宴のはじまりだ」と高らかに宣言するのだ。気持ちよく走っていられる時間を素直に味わおう。12キロで呼吸が荒くなってきた。はやくも心拍数が上昇しはじめたらしい。今日もここまでなのか?とネガティブスパイラルに陥る寸前、エイドの「あんぱん」に出くわす。1個を4分の1にカットしてくれたあんぱんを口に含む。「わっ、これ美味い!」。ジューシーな粒あんが薄皮の生地に包まれている。だいたいマラソン大会で提供されるパンなんてパサパサの不味いのが常道。こんな美味しい粒あんぱん初体験! 粒あんが五臓六腑にしゅみわたり猛烈に吸収されはじめた頃、意識はふたたび鮮明になり、体がすっ飛ぶように前に引っ張られだした。粒あん1/4個に、わが肉体は何とすなおな反応!
 ハーフは1時間40分05秒。速くもないが、遅くもない。ハーフを超えても疲労感なし。ケガが幸いしていつもの自爆走ができなかったからだろう。だが24キロの表示を超えると急に脚に体重が乗らなくなってきた。心肺にダメージはない。呼吸もいまだ平静。にも関わらず脚が前に出ない。ストライドが10センチは縮まっているだろう。1キロのラップが5分20秒台に落ちた。もう終わったのか? いや、終わらせてはならない。これからだ、これからが勝負なのだ。ここまで脚の痛みを感じさせずに走らせてくれたマラソンの神様の慈悲に応えるのは今からだ。よし、行け。ここから耐えられるスピリッツを養うために練習してきたんだろ。地面に体重が乗らないってことはフォームが崩れているからだ。身体にシャープさがなくなっても、フォームだけは維持しよう。
 30キロのパネル通過をきっかけに、全力走に切り替えた。500メートルごとに1段階、もう1段階と踏み脚に力を込める。もう潰れても大丈夫だ。潰れたままゴールまでたどり着ける距離だ、無茶していこう。1キロラップが4分台に戻る。おもしろいように前のランナーを抜いていく。今まで走ったフルのレースは、すべて30キロから大失速していたが、今日は違う。苦しくても攻めの姿勢を崩さない、あきらめない、自分から心を折ってしまわない。
 残り2キロの表示で視野が狭くなってきた。色彩もセピアがかってきた。よし、これでいい。たっぷり追いこめた証明だ。あと2キロなら、目をつむっていても沿道の声援に導かれて前進できる。フィニッシュ会場の400メートルトラック上に躍り込む。ゴールゲートはすぐそこに見えるのに、もがいても、もがいても近づかない。400メートルってこんなに遠いんだ、トラックを走る中距離ランナーは毎日大変だな、と変なことに感心したりする。
 3時間30分21秒、フィニッシュテープを切る。自己ベストを3分縮めた。「先に進んでください」と係員が叫び続けている。ゴールを終えたランナーの列にしたがい歩く。空気の壁が邪魔して前に進みにくい。歩くために必要なエネルギーすら枯渇しているようだ。シューズに装着したRCチップを外そうと下をうつむくと、股間から膝まで内ももがべっとり血まみれである。ウエアがこすれて股ズレになり、さらに表皮が5センチ×3センチほども剥けて大出血しているのだ。しかし、その痛みをまるで感じない。全身の痛点にブロックをかけた状態で走っていたのだ。この麻痺状態が解けたときが地獄だなと、ぼーっとした頭で思う。
 これが今のすべてなのだ。これ以上は出せないという所まで出し切ったのだ。そして思う。きっと、まだまだ速くなれる。

【2日目・福知山マラソン】
 スタートの直前まで、「今日もいける」と思っていた。
 昨日フルを走った疲れはない。膝は痛いがいつものことである。2日続けて自己ベスト、絶対出せる。
 そう信じられたのは、スタートしてわずか10秒だった。全身に重油がつめこまれたような感じ。前に進みたいのに、体内で重油がちゃぷちゃぷ揺れて、後ろに引き戻そうとする。急な下り坂を駆けおりているのに、トレッドミルの上で脚をバタバタ回転させてるような静止感。
 1キロのラップをチェックして目まいがする。7分もかかっている。ゆっくり走っているつもりはないのだ。息も絶え絶え、汗みどろ。アゴの先から汗がしたたり落ちている。これだけ消耗してキロ7分? 周囲のランナーは、みな楽しそうに会話をしている。そうかキロ7分の世界はこうなのか。ずいぶん楽しそうじゃないか。おしゃべりしている人たちにスイスイ追い越される。ハーハーあえいでいるのは、ぼく一人である。体力のない中年オヤジが間違えて大会にエントリーしてしまいました風情だ。走っても、走っても、ダメだ。10キロ手前にしてキロ8分まで落ちる。この状態、100キロマラソンの70キロすぎの身体反応と似ている。自己流で分析するに、まだ運動に使えるカロリーは残っているのに、脳みそが「これ以上走るとロクなことないから、走るの止めときなさい」と全筋肉に指令を発している。身体防衛のための正常な脳の働きとの戦いなのだ。
 10キロ1時間16分54秒。ハーフ2時間50分56秒。歩きに等しいタイムで、関門閉鎖5分前にギリギリ通過する。1万人ものマンモス大会なのに周囲にいるランナーはちらほら。大半のランナーはすでに歩いている。歩く誘惑にかられるが、それだけはイカンと言い聞かせる。
 70歳代とおぼしき高齢ランナーが腰を折り曲げて、下をうつむいて、脚を引きずりながら、それでも歩かずに走っている。視覚障害を持ったランナーが息を荒げながら坂を登っている。伴走ランナーが「キロ7分半でいけば関門超えられるから」と励ます。5キロ先の関門をクリアしようと、必死にチャレンジしている人たちがいる。それぞれが肉体的に与えられた条件のなかで、今この瞬間できる最高のランニングをしようと奮闘している。鼻の奥がツーンとなる。理屈ぬきでカッコイイと思う。ぼくは、こんなランナーになりたいのだ。こんなランナーを目指したいのだ。力があるのに出し惜しみして、できない理屈を考えて、今の自分はベストじゃないけどいつか自分のやりたいことができるなんて、そんな考え方じゃない。今できることを格好つけずに、バカと評されても、必死にやる。ランニングも生き方もそうでありたい。
 キロ9分の脚に力がこもる。持ち上がらない左脚が、アスファルトをズルズルとこする。格好悪いけどこれが今の精一杯。ラップタイムは8分、7分、6分と上がっていき、30キロからはキロ5分で押していく。スタートからの苦闘で汗は5リッターも流れただろう。汗とともに疲労や痛みも流れ落ちたかのようだ。2日間に起こった感情の起伏、歓び、痛み、葛藤が、1カ月ほども遡った過去の記憶のように感じられる。それだけ濃縮された2日間だったのだろう。
 ランナーたちは最後の急峻な坂道を駆け上がる。夕陽がランナーの影を長くしている。ゴールゲートへと続く直線道路は、5時間の苦闘が喜びに変わるウイニングランの舞台だ。テープの向こうで喜びが爆発している。ランナーは、フィニッシュラインを超えた瞬間に今日起こったすべての苦しみをすっかり忘れ、次のレースのことを考えて笑うのだ。そんなヘンな人たちなのだ。
 記録5時間22分19秒、あーへばった! そして思う。きっと、まだまだ速くなれる。

2010年01月07日

さらら1月7日号は、2010年に流行るもの大予想! tokushima-salala0107明けましておめでとうございます。2010年が始まりました! 1年の始まりはいつもワクワクしますよね。
さて今回の特集は、2010年徳島でどんなおもしろいものがブームになるのかを、去る2009年を振り返りながらスーパー、スイーツ、本、雑貨など、8つのお店の「その道のプロ」に伺いました。

そして表紙も新たに徳島でのあらゆる現象を追いかける「さらランキング!」にチェンジ。
今回は「こう変わった! 私のおしゃれランキング」。以前はちょっと外に出るだけでもメイクに服にと気合を入れていたのに今は…。その変化の理由を徳島の女性にインタビュー。「そうなんよなぁ〜」と同感する意見はありましたか?

2009年12月26日

安くて美味しい最強メニューが大集合。タウトク1月号はB級グルメ大図鑑! tautoku-tokushima1001★B級グルメ大図鑑★
アツアツのお好み焼き、ボリューム満点の丼、お酒がすすむ串焼きなど、全国的にも大ブームのB級グルメ大図鑑。安くて美味しくて手軽に食べられる愛されメニューが大集合!

★高校ラグビー熱戦記★
ラグビー部員にとって憧れの場所「花園」を目指して9チームが戦った第89回全国高校ラグビー大会徳島県予選。選手たちはチームのために体を張って一生懸命ボールを追いかけ、仲間を信じ、自分を信じ、絶対に最後まで諦めなかった。そんな彼らの汗と涙がいっぱい詰まった感動リポート!

2009年12月23日

月刊タウン情報CU*11月号 実売部数報告0911_CU部数報告.pdf
0911_CU部数推移.pdf

月刊タウン情報CU*11月号の実売部数を報告します。CU*11月号の売部数は、
6029部でした。詳しくは、上部のファイルをクリックしてください。

長らく雑誌の実売部数はシークレットとされてきました。雑誌は、その収益の多くを広告料収入に頼っているためです。実際の販売部数と大きくかけ離れ、数倍にも水増しされた「発行部数」を元に、広告料収入を得てきた経緯があります。
メディコムでは、その悪習を否定し、「月刊タウン情報CU*」「月刊タウン情報トクシマ」「結婚しちゃお!」の実売部数を創刊号以来、発表しつづけています。

2009年12月21日

結婚しちゃお!秋号 実売部数報告09秋号_結婚しちゃお!部数報告書.pdf
09秋号_結婚しちゃお!部数推移.pdf

結婚しちゃお!秋号 実売部数報告です。
結婚しちゃお!秋号の売部数は、
1108部でした。
詳しくは、上部のファイルをクリックしてください。
メディコムでは、自社制作している
「月刊タウン情報トクシマ」「月刊タウン情報CU*」「結婚しちゃお!」の実売部数を発表しております。

2009年12月17日

さらら12月17日号 いよいよ決定!節約レシピグランプリ tokushima-salala 2009年の年明けとともに開幕した「節約レシピグランプリ」。1年間にわたり、読者の方からたくさんのレシピをお寄せいただきました。そして今回、今まで紙面でご紹介させていただいた28名のグランプリ候補の方の中から、ついにグランプリが決定します!徳島で活躍されている3人の専門家の方々による審査を経てグランプリの栄冠を手にしたのは…あのレシピ!

 そして表紙の「ザ・徳島の平均値!」、今回は「冬対策編」。乾燥しがちな唇にリップクリームを塗る回数や、家にある暖房器具の数、寝るときにかぶるお布団の枚数など、冬を過ごす中でのスタンダードを発表します。さあ、あなたの寒さ対策はばっちりですか?
月刊タウン情報CU*10月号 実売部数報告0910_CU部数報告.pdf
0910_CU部数推移.pdf

月刊タウン情報CU*10月号の実売部数を報告します。CU*10月号の売部数は、
7413部でした。詳しくは、上部のファイルをクリックしてください。

長らく雑誌の実売部数はシークレットとされてきました。雑誌は、その収益の多くを広告料収入に頼っているためです。実際の販売部数と大きくかけ離れ、数倍にも水増しされた「発行部数」を元に、広告料収入を得てきた経緯があります。
メディコムでは、その悪習を否定し、「月刊タウン情報CU*」「月刊タウン情報トクシマ」「結婚しちゃお!」の実売部数を創刊号以来、発表しつづけています。

2009年12月12日

2009年にオープンした新店案内&外湯めぐりの旅 tokuchima-cu1001
☆とくしま新店案内
この1年の間に新しくオープンしたカフェ、レストラン、アパレルショップ、ヘアサロン、スクールなどなどを全部で62店集めました。どのお店も徳島に新たな風を巻き起こすであろう注目のスポットだから、年が変わる前にチェック、チェック!


2009年12月08日

月刊タウン情報トクシマ11月号 実売部数報告0911_タウトク部数報告.pdf
0911_タウトク部数推移.pdf

月刊タウン情報トクシマ11月号 実売部数を報告します。タウトク11月号の売部数は、
8001部でした。詳しくは、上部のファイルをクリックしてください。
メディコムは、「月刊タウン情報トクシマ」「月刊タウン情報CU*」「結婚しちゃお!」の実売部数を創刊号から発表しつづけています。

雑誌の実売部数を発行号ごとに速報として発表している出版社は、当社以外では日本には一社もありません。実売部数は、シェア占有率を算出し、媒体影響力をはかるうえで最も重要な数値です。他の一般的な業界と同様に、出版をなりわいとする業界でも正確な情報開示がなされるような動きがあるべきだと考えています。わたしたちの取り組みは小さな一歩ですが、いつかスタンダードなものになると信じています。

2009年12月04日

バカロードその6 自爆走
文=坂東良晃(タウトク編集人、1967生まれ。18〜21歳の頃、日本列島徒歩縦断、アフリカ大陸徒歩横断など約1万キロを踏破。男四十にして再びバカ道を歩む、か?)

 大学駅伝の有力校、駒澤大学のエースに宇賀地強(うがち・つよし)という長距離ランナーがいる。この小柄な若者の走りには見る者の脳みそを鷲掴みにして、ぐらんぐらんと揺さぶる何かがある。
 宇賀地強の走法は、ストライドの限界まで振りだした脚で地面を強く叩き、蹴り脚は尻でバウンドするまで跳ね上げる。それでいて「ストライド走法」という呼称が似つかわしくないほどに猛烈に早いピッチを刻む。激しい全身運動が生み出した推進力が、その体を滑空させる。長距離走者の走り方ではない。最近走るのが大好きになった中学生の、800メートル全力走のようなガムシャラさである。にも関わらず、彼の走りには独特の哀愁が漂っている。情熱たぎるマグマ状のエネルギーではなく、沈む夕陽に向かって夢中で駆けていくようなペーソスが滲んでいるのだ。現在大学4年生の彼がまだ1年生だった頃は、そういった雰囲気は持ちあわせていなかった。昨年の箱根で、レギュラー部員の持ちタイムで他校を圧し本命視されながら大崩れした駒澤大は、以来、出雲、全日本と、主要な大学駅伝大会すべてで精神面のモロさからボロボロと下位に沈んだ。そんな悲運な母校の責任を一身に背負っているからか。いや、ぼくはそんな単純なサイドストーリーに共鳴しているのではない。
 彼は、ただ走っている姿が感動的なのである。上体を揺らしながら1センチでも前にと顔をゆがめる彼には、どこかの瞬間で残りエネルギーがゼロに達し、ヒモの切れた操り人形がそのままの勢いで路上をバラバラと転がっていくような、壮絶な最後をイメージさせられる。純粋に理想の走りを追求するためだけに自らを限界以上に追い込んでしまう破滅的な走りが、胸に突き刺さるのだ。走るだけでこれほど何かを感じさせてくれるランナーはそうはいない。
 いてもたってもいられなくなる。天気のいい日曜の昼間、テレビの前で寝っころがってハーゲンダッツをペロペロ舐めながら駅伝眺めている自分が許せなくなるのである。だから宇賀地くんの試合を見たあとは、必ず全力疾走する。むろん宇賀地くんのような実力はないから2000メートルあたりでひっくり返る。
 どんなマラソンの教科書にも、イーブンペースと前半自重の重要さが語られている。オーバーペースは30キロ過ぎの壁を招き、必ずや潰れると。でもぼくは今この瞬間、自分が出しうる最速のスピードで走りたい。後半に足を残そうとかペースを維持しようとか一切考えずに、ツっこみにツっこんで、脚もちぎれんばかりに攻めて、あえぎにあえいでゴールに飛び込みたい。「いったん爆死してから、どれだけ耐えきれるか」、それが自分を認められるかどうかの絶対ラインだ。 
 世界がどんなに革命的なテクノロジーで覆い尽くされようと、ぼくはアナログな価値観しか持てない。自分の足で移動し、痛みや苦しみの感覚が伴ってないと、そこに至ったという記憶さえ不確かなのである。このごろ何度も同じ映画を再生している。中学生の頃から繰り返し観ているアメリカンニューシネマ。「俺たちに明日はない」「タクシードライバー」「ファイブ・イージー・ピーセス」「明日に向かって撃て!」。あてどなく放浪し、無謀に攻めこみ、奔放に逃げ、最後はマシンガンで蜂の巣にされる自爆的な生きざまへの憧憬。2年前にランニングをはじめるまでは、完全に喪失していたデカダンスへの渇望。
 秋のレースシーズンに突入し、「四万十ウルトラ」「阿波吉野川」「淀川市民」「南阿波サンライン黒潮」と週1ペースでレースに出、今のところ全レース爆死している。100キロレースなら10キロ×10本の意識で、フルマラソンなら5キロ×8本のタイムトライアルのつもりで押していく。毎レース、中間点を手前にして鉛の手かせ足かせがハマり、ハムストリングがピキピキと音をあげ、痙攣が「毎度、おじゃまします!」とやってくる。やがて仮装したドラえもんやらタイガーマスクやらに抜かれ、おしゃべりしながらファンランしてるランスカのギャルに左右から追い越される屈辱を舐める。脳内イメージは宇賀地強、現実はグチャグチャに負けるためにひた走る中年市民ランナー。
 でもいつか「その日」が来る気がしている。自爆ペースでツッこんで、そのままの勢いを維持し、中盤からはさらに加速し、背中に翼が生えたような超感覚につつまれ、風を切ってゴールゲートをくぐる瞬間が訪れると。熱量を全部使い切って、フィールドの枯れた芝生の上で2時間くらいピクリとも動けなくなるほど消耗しつくす。箱根の選手たちのような命を切り刻むレースがきっとできると信じ、今シーズン全レース自爆を誓う。
   □
【超長距離レースの誘い】
 踏破距離200キロを超える超長距離レースのシーズンは、4月にはじまり5月と9月にピークを迎える。だいぶ先のことだと思っていたら、おっと!エントリーの時期に突入しつつあるではないか。「スパルタスロン」や「ウルトラ・トレイル・デュ・モンブラン」など日本でも著名なレースは参加枠や実績による選考もあり困難だが、他にも楽しそうな大会はある。今ならよりどりみどり、どのバカロードに足を踏み入れようか、悩ましくも喜ばしい状況である。
□川の道フットレース
 知る人ぞ知る超長距離ロードレース。4月〜5月の黄金週間中に、東京湾から新潟県の日本海側まで522キロを制限135時間で走る。途中3カ所で休憩(仮眠や入浴ができる)を採ることが義務づけられているのがユニーク。
□本州縦断フットレース
 青森駅前から下関駅前まで1521キロを制限540時間で走りきる。今年は5月〜6月に開催されたが、来年はランナー自身がスタート日を決めるという変則的なものになるみたい。
□トランスジャパンアルプスレース
 日本海側の富山湾から太平洋岸の駿河湾まで、北ア・中央ア・南アと日本アルプスの主要な山岳地帯を8日間かけて踏破する425キロの究極トレイルランニング。参加者個人が主催者という位置づけ。山と長距離走のエキスパートだけが参加を許される世界最過酷と呼ぶべき大会。2年に1回開催。
□トランス・ヨーロッパ・フットレース
 毎回コースは異なるが約5000キロを60〜70日かけて走破するロングジャーニー。公民館などで寝泊まりしながら、毎日平均70キロ前進。荷物30キロまでは大会側が次のチェックポイントまで搬送してくれ、簡単な食事も提供される。今年は4月〜6月にかけて開催され、イタリア南端の岬からノルウェー最北端の岬までの欧州縦断コースだった。アメリカ合衆国を東西に横断する「トランス・アメリカ・フットレース」が消滅した今、大陸横断系として最も食指をそそる大会である。

2009年12月03日

さらら12月3日号に、ハッピー家電がズラリ! SALALA1203.jpg
 いま、電器店には日常生活をハッピーにしてくれる便利な機能がついた家電がたくさん! そんな「使ってみたい!お役立ちハッピー家電」を、電気店の方に教えていただきました!お米がうまうまに炊ける炊飯器やオシャレなマッサージチェア、アイロンいらずの洗濯機など、実際に使ってみたくなる家電がたくさん集まってます。

 そして表紙の「ザ・徳島の平均値!」、今回は「買い置き編」。トイレットペーパー、電球、お菓子などなど、ふだん生活の中で使うもので買い置きしてあるものの数を調査!あなたのおうちには、どんなモノがいくつストックされていますか?

2009年11月27日

月刊タウン情報CU*9月号 実売部数報告0909_CU部数報告.pdf
0909_CU部数推移.pdf

月刊タウン情報CU*9月号の実売部数を報告します。CU*9月号の売部数は、
6577部でした。詳しくは、上部のファイルをクリックしてください。

長らく雑誌の実売部数はシークレットとされてきました。雑誌は、その収益の多くを広告料収入に頼っているためです。実際の販売部数と大きくかけ離れ、数倍にも水増しされた「発行部数」を元に、広告料収入を得てきた経緯があります。
メディコムでは、その悪習を否定し、「月刊タウン情報CU*」「月刊タウン情報トクシマ」「結婚しちゃお!」の実売部数を創刊号以来、発表しつづけています。
この冬を楽しむために必携のタウトク12月号発売! tokushima_tautoku0912★徳島ランチ大図鑑★
「手頃の値段でお腹いっぱい食べたい」「隠れ家的なとっておきのランチが知りたい」など様々な要望にお応えすべく、ランチグルメを大研究!徳島県内にあるイタリアン、中華、カフェ、寿司など多種多様なお店を徹底調査し、「これぞ!」という80店舗もの多種多様なメニューの情報をギチギチに詰め込みました。大満足間違いなしのランチガイド決定版です!

2009年11月19日

さらら11月19日号は、「技あり」の王子と姫に注目—! Tokushima-salala 今回のさららの特集は「徳島で発見! ワザあり王子&姫」。星のことなら何でも知っている「星王子」や、おいしい漬物を作る達人「漬物&お惣菜姫」など、スゴ技を持った尊敬すべき王子&姫を紹介します。それぞれの分野を極め、熱い想いを持って活躍している方々はキラキラと輝いていて本当に魅力的!

 そして表紙の「ザ・徳島の平均値!」、今回は「お風呂編」。1日の疲れをほっこり癒してくれるお風呂時間。湯船につかっている時間やシャンプーの数、そして、バスタオルを洗う頻度まで、お風呂にまつわるいろんな数を調査しました。

2009年11月14日

月刊タウン情報トクシマ10月号 実売部数報告0910_タウトク部数報告.pdf
0910_タウトク部数推移.pdf

月刊タウン情報トクシマ10月号 実売部数を報告します。タウトク10月号の売部数は、
8031部でした。詳しくは、上部のファイルをクリックしてください。
メディコムは、「月刊タウン情報トクシマ」「月刊タウン情報CU*」「結婚しちゃお!」の実売部数を創刊号から発表しつづけています。

雑誌の実売部数を発行号ごとに速報として発表している出版社は、当社以外では日本には一社もありません。実売部数は、シェア占有率を算出し、媒体影響力をはかるうえで最も重要な数値です。他の一般的な業界と同様に、出版をなりわいとする業界でも正確な情報開示がなされるような動きがあるべきだと考えています。わたしたちの取り組みは小さな一歩ですが、いつかスタンダードなものになると信じています。

2009年11月13日

クリスマス、雑貨、スイーツ…乙女の欲望を叶えるCU12月号は tokushima-cu0912クリスマスをめいっぱい楽しむための
♥Xmaxs♥

豪華なイルミネーションやこの時期だけのイベント、
クリスマス特製ディナーにカフェのスペシャルメニュー…をご紹介!
12月24、25日までのカウントダウンを素敵に演出しちゃいます。
もちろん、おうち派の人にチキン、デリ、お酒情報もありますよ。
そして、クリスマスに向けてさらなる美を求める
すべての女性に送る『beauty issue』もご覧あれ〜

2009年11月08日

バカロードその5 スカンピン侍でござる
文=坂東良晃(タウトク編集人、1967生まれ。18〜21歳の頃、日本列島徒歩縦断、アフリカ大陸徒歩横断など約1万キロを踏破。男四十にして再びバカ道を歩む、か?)

【神宮外苑24時間チャレンジ】
 「場ちがい」という体験をしたことがありましょうか。、「肩のこらないカジュアルなパーティです」と書かれた案内状を真に受けて普段着で会場に行ったら、全員がフォーマルスーツで決めていて「マジかよ!」と悪寒が背筋を貫くような、嬉しくないひとときです。

 「神宮外苑24時間チャレンジ」の会場にやる気満々、鼻息もバフバフはせ参じたぼくは、受付でもらった選手リストに目を落とすにつけ、自分の存在が完全に場ちがいであることを認めざるを得なくなり、急転直下のしょんぼりとしたムードに包まれた。リストには各ランナーの自己ベストタイムが併記されている。なんと、8割程度の選手がフルマラソンで2時間台、100キロマラソンで8時間台以内の実績がある。100キロ6時間台の鬼ランナーまでいる。フルマラソン3時間33分と書かれたぼくのプロフィールが名簿から完全に浮き上がり、逆に目立っているではないか。オオカミの集団にまぎれこんだ子羊か、あるいはヒクソン・グレイシー道場に殴り込み血祭りにあった安生洋二か。かなうならば植木等ばりに「およびでない・・・こりゃまた失礼しました〜」と舞台から引けて、一刻も早く徳島にUターンしたい気分である。恐る恐る控えテントに近づくと、全身にぜい肉のカケラも付着していない研ぎ澄まされた方々が、去年のスパルタスロンの話題で盛り上がっていらっしゃる。ちなみにスパルタスロンとは246キロを36時間以内に走る世界最高峰のウルトラマラソンの大会であり、ぼくがどう逆立ちしてもローラースケートを履いても完走すらおぼつかない偉大なる大会である。つまりスパルタスロンで上位に食い込むようなレベルの皆さんが、いまここに集結してらっしゃる。 (やっぱし、いのかな〜)と思いつつ、なるべく他人と目をあわさないように伏し目がちに着替えていると、1人の選手に話しかけられる。「徳島からいらしてるんでしょ? 同じ四国からですヨロシク!」という愛媛ご出身のランナーのお方。柔和な表情でリラックスした雰囲気。(あ、やっと仲間ができたかな)とひと安心したが、この方もスパルタスロンを完走され、ウルトラマラソンの優勝経験もある超A級ランナーと判明。「来年、スパルタ一緒に行きましょう!同じ宿で長期過ごすからランナー同士のつながりも強くなって、楽しいですよ!」と優しく誘っていただく言葉に、「もごもご」と歯切れ悪く返事する。(あのう、ごめんなさい。ぼくただの場ちがいな人です)と心でお詫びする。ふつうの市民ランナーなんて、この会場にいるわけないか、と再び落ち込みスタートラインにとぼとぼ歩く。
 スタート5分前にランナー49人は公園周回路の歩道上に並ぶ。定刻9時に号砲。いきなり周りのランナーたちが猛スパートをはじめ、ぼくは置き去りにされる。ちょちょちょちょ、ちょっと待ってー!と追いすがる。先頭集団の入りは明らかにキロ3分台である。あのーみなさーん!今から24時間走るんですよね? じっくり入ったりしないわけですかぁ。それともそのペースでも抑えめですかぁ、と心で叫びながらついていき、取り残される羞恥心からぼくもキロ4分台で入ってしまう。明らかなるオーバーペース、「オマエはすでに終わっている」状態である。
 それから30キロあたりまではキロ5分30秒ペースで走る。が、先頭集団に何度も周回遅れにされる。こっちだってサブフォーペースなんですけど一応・・・。彼らはまるで中距離走者みたいに速く、気持ちよいほどガンガンぶち抜いてくれる。もーどうでもいいや、走れるだけ走ろ、とふっ切れる。笑うくらいの実力差にすがすがしさを取り戻す。
 50キロに達したのはスタートから6時間後。このままのペースを維持できれば200キロをマークできる計算だ(そんなわけないのだが)。先頭を行く選手は100キロを7時間台後半でカバー。24時間走のアジア最高記録(274キロ)を上まわるペースを刻んでいる。やがてにわかに天空かき曇り、東京名物のゲリラ豪雨状態に。小川のせせらぎの中をいくように、神宮外苑の舗道上をジャブジャブと靴を濡らし進む。
 1.3キロの周回路をぐるんぐるんと24時間まわり続ける。そこには何かしら哲学的な意味あいが必要なのではないか、と思索する。天気のよい日にさわやかな高原や海辺の道をタッタカゆく、という理想的なランニングのイメージとは対極の位置にある競技会である。場所は都心部、コンクリート建造物の谷間。特に視線を向けるべき自然の造形もなく、かといって近未来的都市の景観があるわけでもない。同じ道をひたすら10周、20周、50周、100周と周回を重ねる。ましてや夜間ともなると、信号や街頭の灯り以外は目に映るものすらなくなる。心はおのずと内省的になる。
 到達点のない距離と果てしない時間のなかで、ただ脚を前に出しつづける。遅いけれど少しは前進する。人間の生涯なんてそんなものではないかと思う。自分がある日フイに死んだとしても世の中はうまく回りつづける。今やっていることに重大な意味があると信じて、寝る間も惜しんで取り組んでいたとしても、自分がある日消失霧散したあとも、世界は変わらず同じ時を刻み続ける。他人にとって価値があるのかないのか不明な仕事に夢を抱き、目標をつくり、ひたすら走り続ける。自分が今どこを走っているのか、何のために走っているのかもわからず、全力で四肢をもがき、疲れ果ててトボトボ歩く。24時間というひたすら長い競技時間を、休むことなく、眠ることもなく、湿気った重い空気をかきわけ走る。そういう行為こそ、人生を例えるにふさわしい営みなんではないかと思うのだ。
 草木も地下鉄も眠る深夜、遅れてきたランナーズハイに突入する。出だしの頃は、「フルマラソン1回分走ったのに残り20時間もあるんだよね」「10時間走ったけど、24時間から10時間引いたら14時間(暗算があまりできなくなる)。あと14時間ってけっこう長いよね」などと当たり散らせない思いを噛みしめていたが、12時間つまり半分を超えてからはお気楽さが充満してきた。「あとたったの8時間しか走らせてもらえないのか、さみしいもんだね」なんてメランコリックにもなる。自分の能力では抗しがたき状況に晒されると、流れに身を任せるしかない。先のことはともかく、今この瞬間にやれるだけのことをやろう、との刹那的ポジティブマインド。びしょ濡れのナメクジの歩みのようにヌラヌラと、荷役ロバのようにヒヒヒンと笑って。
 夜が明けると見物のお客さんが増え、孤独なムードは華やいだものに変わる。見ず知らずのぼくにも沿道の左右から応援の声がかかる。引きずっていた脚から痛みが消え、正しいストライドに戻る。徐々にスピードが増し、最後の1周は心臓も壊れちまえのペース、キロ4分台。何十周と追い抜かれたトップクラスの選手をはじめて追い越す。なんだまだ限界じゃなかったんじゃねーの。まだまだ走れるじゃないか。
 結果は139キロ。49人中27位。どうなんだろね、微妙だね。
 優勝した井上真悟選手は29歳。大雨の悪コンディションの中、今シーズン世界最高記録の258キロをマークした。背筋をピンと伸ばした孤高の走りは背後から見ていても心洗われた。超長距離走のジャンルで、まさに世界のトップに立つ人物だ。ふだんはジュニア陸上クラブの指導はじめ様々な社会貢献活動に勤しむ素晴らしい好青年である。共通の知人がいたため、フィニッシュ後にお話ができた。自己紹介すると、ぼくのことを知っていてくれた。「あ!サハラマラソンで下ネタばかりしゃべっていたという方ですね」・・・嗚呼、若き王者の歩む道との何たる遠さよ!


【信越五岳トレイルランニングレース100km】
 「神宮24時間チャレンジ」と2週連続の100キロ級レースである。大会2日前にして、疲れがまったく脱けない。これは歳か、アラフォーの性か。凡人たるオッサンがアスリートのマネごとをしている報いか。スーパー銭湯でマッサージ椅子にもみしだかれても、狂ったようにサウナと水風呂を往復してもダメ。ついにはケミカル頼み、ユンケルとリポDゴールドを2日間で20本ガブ飲みしたが、飲み過ぎは当然身体によくありませんな。お小水が黄金色に輝くばかり。
 信越五岳トレイルランニングレースは、トレイルラン文化を日本に根付かせようと精力的に活動しているトレイルランナー・石川弘樹さんがプロデュースする大会であり、今までにない先進的な思想が導入されている。元来、孤独でストイックな山岳レースのイメージが強い日本のトレイルランの大会に対し、信越五岳トレイルは家族や友人が応援できるポイントをいくつも設けたり、ラスト34キロを「ペーサー」と呼ばれる仲間の併走を認めるなど、ランナーとランナーを支える人たちが一体となってレースを作りあげる。全8カ所もあるエイドの充実も珍しい。たとえば国内最高峰の大会であるハセツネ(日本山岳耐久レース)のエイド1カ所とは、大きく異なる。ハセツネは登山家を鍛える目的で始められた山岳レースだから、途中補給なんて考えは主旨に一致しない。頂上を落とす最終アタック隊を横から助けてくれる場面なんてないですからね。対して信越五岳トレイルは、石川弘樹さんが長期遠征したアメリカや世界各地での経験を元に、誰もが市民マラソンのような気軽な感覚で森や山のトレイルロードを楽しく駆ける、というライフスタイルを競技に取り入れたものだ。
 拠点となる長野市へは徳島からだとアクセス不便に感じるが、高速バス1本で行ける新神戸駅から新幹線で名古屋駅、特急しなの号に乗り換えて長野駅へ、とタイミングよく乗り継げば6時間。JR長野駅前には主催者が用意した無料バスが待機し、1時間かけてスタートの斑尾(まだらお)高原へ運んでくれる。地元市民や自治体とトレイルランナーの協働という観点から、大会前後は地元の宿泊施設での滞在が義務づけられる。参加者からの異論も少しはあったが、今どきの厳しい財政状況のなか地元自治体や商工会らが人を出し、準備に汗を流し、予算も捻出して走らせてくれるのだから、「お金は落としたくないけど支援だけしてくれ」というのは虫が良すぎる。その恩義の大きさにふさわしいお返しはできないが、せめて宿代、食事代、土産代くらいは経済貢献するとしよう。
 夜がしらじらと明け始めた午前5時30分がスタート時間。初開催の大会だけあってランナーのお祭りムードも最高潮だ。前夜のパーティー会場では「100キロという旅を楽しんで」と説明してくれた石川選手が、ランナーたちの浮かれ気分がシリアスさに欠けると判断したか、スタート台から拡声器で「これはレースですよー!周りとの戦い、自分との戦いでーす!」と引き締めにやっきになっていたのが微笑ましい。
 走りだしの高原ロードは細かなアップダウンの繰り返し。驚いたのは足元の柔らかさ。樹木の堆積物からなる土面や、走路を覆う芝草によって脚への衝撃が少ない。まさにフカフカの雲上を走る気分なのである。ガレ場やぬかるみが当然のトレイルレースにあって快適すぎるサプライズだ。コースは、しだいに深い森の中へとランナーを誘う。左右に蛇行するシングルトラックの細いトレイル。木立がぐんぐん迫ってきては後方へと流れていく。開けたアスファルト道では味わえないスピード感に心躍る。走っている間は、あまり複雑なことは考えない。だから、山を走るってのはこんなに気持ちのいいものなんだと、すなおに感動する。
 新潟と長野にまたがる5つの山岳地帯を結んで設計されたコースは、更にさまざまな局面を用意してくれていた。ダブルトラックの走りやすい林道、木の根が縦横に張りだした急峻な登りや下り、瀑音とどろく河川を眼下に伸びる土手道、満開のコスモス畑、牛が草をはむ牧場地帯、湿地帯の木道、そして神秘的な戸隠神社の境内へ・・・。つぎつぎとタイプの異なる道が現れては、回転舞台が転換するように目を楽しませ、適切な走りのテクニックを要求する。飽きることのない仕掛けに笑いが込み上げてくる。やー、バカみたいに楽しいなこりゃ。
 ラスト10キロは標高1840メートルの峠へと続く飯綱山への登り。登山道に取り付いたのは深夜12時、制限時間まで4時間を残しての10キロである。最後の最後に最高の美肉を用意してくれたものじゃ!などと余裕をかましていたら、次第に霧が深くたちこめヘッドランプの光が映し出すのは乳白色の空気ばかりで足元おぼつかず。険しい登山道は半ロッククライミング状態となり、吹きつける雨に木の根も岩もアイスバーンのごとく滑る。10分に1回ペースですっ転んではケツも腰も打ちまくり。最後に何たる仕打ちじゃ〜と半泣き&全身ドロまみれになって4時間近くもがき苦しんで山を脱する。ラスト2.6キロは平坦な林道、足も折れんばかりにキロ4分ペースの猛ダッシュを試みた。神宮外苑24時間走に続いての「なんだまだ限界じゃねーのラストスパート」である。しかし、22時間の制限時間にどう計算しても2分届かない。22時間も走ったのに公式記録上はDNF(did not finish)なんだよね〜ガックシ。
 制限時間オーバーゆえにてっきりフィニッシュ会場も撤収準備に入っているだろうと思い最後の角を曲がると、何ということでしょう! 多くの先着ランナーたちが花道をつくって待っていてくれた。「おかえりなさい!」「ナイスラン!」と声がかかる。そしてフィニッシュゲートの真正面に少女漫画の主人公ばりのキラキラ笑顔で立っているのは、かの石川弘樹選手(34歳・美形)ではないか。背景に薔薇の花びらが舞ってますよ! うひょー、最高のクライマックスだね。ぼくがミーハー女子ならこのまま彼の胸の中に顔をうずめて、ぽっぺをスリスリしちゃうトコだね。
 しかし自分はオッサンであるという自覚を胸に、自制に努める。石川選手に「来年もぜひ来てください!」と声をかけてもらい、がっちりアスリートっぽく握手を交わす。当代きっての美青年カリスマランナーと、当代きってのバカランナーの人生がここで初めて電撃的にクロスし、化学反応を起こし激しくスパークしあったわけだ!(単に握手してもらっただけです)
 撤収作業のはじまった会場を眺めているうちに、徐々に我に返る。全身ドロまみれのボロ雑巾。どこもかしこも痛くて動くたびに悲鳴をあげそうだ。だけど気分はすがすがしい。2週つづけての100キロレース。ハンガーノック状態で悶え苦しむのは望みどおりの沙汰だ。大都会のド真ん中や、大自然のド真ん中を、理屈・屁理屈はさておき、ひたすら猛進する。それぞれのカテゴリーに若き超一流の選手がいて、競技者としての強いハートと高い社会的使命を背負った、輝かしい姿を目の当たりにした。そして、それぞれのカテゴリーにおいて超五流のぼくは、今日もまた地味にエントリー料を振り込み、大会案内がポストに入っているだけで一日幸せ気分になり、過酷なレースの最後尾をよろよろ走りつづける。美しくもなく、栄光もなく、寝不足気味のスカンピンで。

2009年11月05日

さらら11月5日号を読んで、家族みんなで楽しく外食♪ Tokushima-salala小さなお子さんがいらっしゃるご家庭の皆さん!「なんかおいしいもの食べたいけど、子どもと一緒に行けるおいしいお店どっかないかなぁ〜」なんて思うときはありませんか?
今回の特集は、そんなご家庭の皆さんにぴったりな「子ども連れでもOK!家族で楽しめるお店」。年齢問わず家族みんなでわいわい・ゆったり楽しめるカフェやレストラン、焼肉店や居酒屋などをご紹介します。

そして表紙の「ザ・徳島の平均値!」、今回は「食卓編」。1カ月にお味噌汁を飲む回数、お鍋が食卓に登場する回数など、 徳島の食卓のスタンダードを発表。なんと、お鍋は平均○日に1回は食卓に登場しているみたいですよ。

2009年10月28日

タウトク11月号を片手に徳島中の旨いもんを食べつくす! tautoku-tokushima0911★地域別旨いもんグルメ★
うどん、定食、スイーツなどなど徳島の旨いもんは数知れず・・・。そんな中、「お昼はここって決めとんよ」「ほんまは秘密にしときたいんやけどな」という、各地域の役場の方や道行く人から情報を頼りに突き止めた、「ほんまにおいしい店」を一挙公開!

★OJ3(おじさまグランプリ)2009★
10代、20代の若者にはない人生の深みや色気を持つ77人のおじさまをご紹介! 酸いも甘いも知り尽くしたおじさまに人生の極意を学びましょう♪
46組のおしゃれウエディングリポート掲載! 徳島のウエディング情報誌「結婚しちゃお!」発売!徳島で結婚を決意したら読む本「結婚しちゃお!冬号」が新発売いたしました。ブライダルハイシーズンの今、「そろそろ結婚をしようかな」と考えているカップルも多いはず。今回の特集は徳島県の人気結婚式場で実際に行われた46組の結婚式の実例リポートを掲載! 「どんな演出にしたの?」「感動ポイントは?」「ふたりのこだわりは?」などが丸分かりです。その結婚式を担当したプランナーのコメントもたっぷり掲載。ふたりの「こんな結婚式にしたい」というイメージが具体的になるよ!ふたりらしいドラマティックな結婚式を実現しよう。
結婚しちゃお!は徳島県内の書店・コンビニで発売中。1冊280円。