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2009年12月12日
☆とくしま新店案内
この1年の間に新しくオープンしたカフェ、レストラン、アパレルショップ、ヘアサロン、スクールなどなどを全部で62店集めました。どのお店も徳島に新たな風を巻き起こすであろう注目のスポットだから、年が変わる前にチェック、チェック!
2009年12月08日
0911_タウトク部数推移.pdf
月刊タウン情報トクシマ11月号 実売部数を報告します。タウトク11月号の売部数は、
8001部でした。詳しくは、上部のファイルをクリックしてください。
メディコムは、「月刊タウン情報トクシマ」「月刊タウン情報CU*」「結婚しちゃお!」の実売部数を創刊号から発表しつづけています。
雑誌の実売部数を発行号ごとに速報として発表している出版社は、当社以外では日本には一社もありません。実売部数は、シェア占有率を算出し、媒体影響力をはかるうえで最も重要な数値です。他の一般的な業界と同様に、出版をなりわいとする業界でも正確な情報開示がなされるような動きがあるべきだと考えています。わたしたちの取り組みは小さな一歩ですが、いつかスタンダードなものになると信じています。
2009年12月04日
文=坂東良晃(タウトク編集人、1967生まれ。18〜21歳の頃、日本列島徒歩縦断、アフリカ大陸徒歩横断など約1万キロを踏破。男四十にして再びバカ道を歩む、か?)
大学駅伝の有力校、駒澤大学のエースに宇賀地強(うがち・つよし)という長距離ランナーがいる。この小柄な若者の走りには見る者の脳みそを鷲掴みにして、ぐらんぐらんと揺さぶる何かがある。
大学駅伝の有力校、駒澤大学のエースに宇賀地強(うがち・つよし)という長距離ランナーがいる。この小柄な若者の走りには見る者の脳みそを鷲掴みにして、ぐらんぐらんと揺さぶる何かがある。
宇賀地強の走法は、ストライドの限界まで振りだした脚で地面を強く叩き、蹴り脚は尻でバウンドするまで跳ね上げる。それでいて「ストライド走法」という呼称が似つかわしくないほどに猛烈に早いピッチを刻む。激しい全身運動が生み出した推進力が、その体を滑空させる。長距離走者の走り方ではない。最近走るのが大好きになった中学生の、800メートル全力走のようなガムシャラさである。にも関わらず、彼の走りには独特の哀愁が漂っている。情熱たぎるマグマ状のエネルギーではなく、沈む夕陽に向かって夢中で駆けていくようなペーソスが滲んでいるのだ。現在大学4年生の彼がまだ1年生だった頃は、そういった雰囲気は持ちあわせていなかった。昨年の箱根で、レギュラー部員の持ちタイムで他校を圧し本命視されながら大崩れした駒澤大は、以来、出雲、全日本と、主要な大学駅伝大会すべてで精神面のモロさからボロボロと下位に沈んだ。そんな悲運な母校の責任を一身に背負っているからか。いや、ぼくはそんな単純なサイドストーリーに共鳴しているのではない。
彼は、ただ走っている姿が感動的なのである。上体を揺らしながら1センチでも前にと顔をゆがめる彼には、どこかの瞬間で残りエネルギーがゼロに達し、ヒモの切れた操り人形がそのままの勢いで路上をバラバラと転がっていくような、壮絶な最後をイメージさせられる。純粋に理想の走りを追求するためだけに自らを限界以上に追い込んでしまう破滅的な走りが、胸に突き刺さるのだ。走るだけでこれほど何かを感じさせてくれるランナーはそうはいない。
いてもたってもいられなくなる。天気のいい日曜の昼間、テレビの前で寝っころがってハーゲンダッツをペロペロ舐めながら駅伝眺めている自分が許せなくなるのである。だから宇賀地くんの試合を見たあとは、必ず全力疾走する。むろん宇賀地くんのような実力はないから2000メートルあたりでひっくり返る。
どんなマラソンの教科書にも、イーブンペースと前半自重の重要さが語られている。オーバーペースは30キロ過ぎの壁を招き、必ずや潰れると。でもぼくは今この瞬間、自分が出しうる最速のスピードで走りたい。後半に足を残そうとかペースを維持しようとか一切考えずに、ツっこみにツっこんで、脚もちぎれんばかりに攻めて、あえぎにあえいでゴールに飛び込みたい。「いったん爆死してから、どれだけ耐えきれるか」、それが自分を認められるかどうかの絶対ラインだ。
世界がどんなに革命的なテクノロジーで覆い尽くされようと、ぼくはアナログな価値観しか持てない。自分の足で移動し、痛みや苦しみの感覚が伴ってないと、そこに至ったという記憶さえ不確かなのである。このごろ何度も同じ映画を再生している。中学生の頃から繰り返し観ているアメリカンニューシネマ。「俺たちに明日はない」「タクシードライバー」「ファイブ・イージー・ピーセス」「明日に向かって撃て!」。あてどなく放浪し、無謀に攻めこみ、奔放に逃げ、最後はマシンガンで蜂の巣にされる自爆的な生きざまへの憧憬。2年前にランニングをはじめるまでは、完全に喪失していたデカダンスへの渇望。
秋のレースシーズンに突入し、「四万十ウルトラ」「阿波吉野川」「淀川市民」「南阿波サンライン黒潮」と週1ペースでレースに出、今のところ全レース爆死している。100キロレースなら10キロ×10本の意識で、フルマラソンなら5キロ×8本のタイムトライアルのつもりで押していく。毎レース、中間点を手前にして鉛の手かせ足かせがハマり、ハムストリングがピキピキと音をあげ、痙攣が「毎度、おじゃまします!」とやってくる。やがて仮装したドラえもんやらタイガーマスクやらに抜かれ、おしゃべりしながらファンランしてるランスカのギャルに左右から追い越される屈辱を舐める。脳内イメージは宇賀地強、現実はグチャグチャに負けるためにひた走る中年市民ランナー。
でもいつか「その日」が来る気がしている。自爆ペースでツッこんで、そのままの勢いを維持し、中盤からはさらに加速し、背中に翼が生えたような超感覚につつまれ、風を切ってゴールゲートをくぐる瞬間が訪れると。熱量を全部使い切って、フィールドの枯れた芝生の上で2時間くらいピクリとも動けなくなるほど消耗しつくす。箱根の選手たちのような命を切り刻むレースがきっとできると信じ、今シーズン全レース自爆を誓う。
□
【超長距離レースの誘い】
踏破距離200キロを超える超長距離レースのシーズンは、4月にはじまり5月と9月にピークを迎える。だいぶ先のことだと思っていたら、おっと!エントリーの時期に突入しつつあるではないか。「スパルタスロン」や「ウルトラ・トレイル・デュ・モンブラン」など日本でも著名なレースは参加枠や実績による選考もあり困難だが、他にも楽しそうな大会はある。今ならよりどりみどり、どのバカロードに足を踏み入れようか、悩ましくも喜ばしい状況である。
□川の道フットレース
知る人ぞ知る超長距離ロードレース。4月〜5月の黄金週間中に、東京湾から新潟県の日本海側まで522キロを制限135時間で走る。途中3カ所で休憩(仮眠や入浴ができる)を採ることが義務づけられているのがユニーク。
□本州縦断フットレース
青森駅前から下関駅前まで1521キロを制限540時間で走りきる。今年は5月〜6月に開催されたが、来年はランナー自身がスタート日を決めるという変則的なものになるみたい。
□トランスジャパンアルプスレース
日本海側の富山湾から太平洋岸の駿河湾まで、北ア・中央ア・南アと日本アルプスの主要な山岳地帯を8日間かけて踏破する425キロの究極トレイルランニング。参加者個人が主催者という位置づけ。山と長距離走のエキスパートだけが参加を許される世界最過酷と呼ぶべき大会。2年に1回開催。
□トランス・ヨーロッパ・フットレース
毎回コースは異なるが約5000キロを60〜70日かけて走破するロングジャーニー。公民館などで寝泊まりしながら、毎日平均70キロ前進。荷物30キロまでは大会側が次のチェックポイントまで搬送してくれ、簡単な食事も提供される。今年は4月〜6月にかけて開催され、イタリア南端の岬からノルウェー最北端の岬までの欧州縦断コースだった。アメリカ合衆国を東西に横断する「トランス・アメリカ・フットレース」が消滅した今、大陸横断系として最も食指をそそる大会である。
彼は、ただ走っている姿が感動的なのである。上体を揺らしながら1センチでも前にと顔をゆがめる彼には、どこかの瞬間で残りエネルギーがゼロに達し、ヒモの切れた操り人形がそのままの勢いで路上をバラバラと転がっていくような、壮絶な最後をイメージさせられる。純粋に理想の走りを追求するためだけに自らを限界以上に追い込んでしまう破滅的な走りが、胸に突き刺さるのだ。走るだけでこれほど何かを感じさせてくれるランナーはそうはいない。
いてもたってもいられなくなる。天気のいい日曜の昼間、テレビの前で寝っころがってハーゲンダッツをペロペロ舐めながら駅伝眺めている自分が許せなくなるのである。だから宇賀地くんの試合を見たあとは、必ず全力疾走する。むろん宇賀地くんのような実力はないから2000メートルあたりでひっくり返る。
どんなマラソンの教科書にも、イーブンペースと前半自重の重要さが語られている。オーバーペースは30キロ過ぎの壁を招き、必ずや潰れると。でもぼくは今この瞬間、自分が出しうる最速のスピードで走りたい。後半に足を残そうとかペースを維持しようとか一切考えずに、ツっこみにツっこんで、脚もちぎれんばかりに攻めて、あえぎにあえいでゴールに飛び込みたい。「いったん爆死してから、どれだけ耐えきれるか」、それが自分を認められるかどうかの絶対ラインだ。
世界がどんなに革命的なテクノロジーで覆い尽くされようと、ぼくはアナログな価値観しか持てない。自分の足で移動し、痛みや苦しみの感覚が伴ってないと、そこに至ったという記憶さえ不確かなのである。このごろ何度も同じ映画を再生している。中学生の頃から繰り返し観ているアメリカンニューシネマ。「俺たちに明日はない」「タクシードライバー」「ファイブ・イージー・ピーセス」「明日に向かって撃て!」。あてどなく放浪し、無謀に攻めこみ、奔放に逃げ、最後はマシンガンで蜂の巣にされる自爆的な生きざまへの憧憬。2年前にランニングをはじめるまでは、完全に喪失していたデカダンスへの渇望。
秋のレースシーズンに突入し、「四万十ウルトラ」「阿波吉野川」「淀川市民」「南阿波サンライン黒潮」と週1ペースでレースに出、今のところ全レース爆死している。100キロレースなら10キロ×10本の意識で、フルマラソンなら5キロ×8本のタイムトライアルのつもりで押していく。毎レース、中間点を手前にして鉛の手かせ足かせがハマり、ハムストリングがピキピキと音をあげ、痙攣が「毎度、おじゃまします!」とやってくる。やがて仮装したドラえもんやらタイガーマスクやらに抜かれ、おしゃべりしながらファンランしてるランスカのギャルに左右から追い越される屈辱を舐める。脳内イメージは宇賀地強、現実はグチャグチャに負けるためにひた走る中年市民ランナー。
でもいつか「その日」が来る気がしている。自爆ペースでツッこんで、そのままの勢いを維持し、中盤からはさらに加速し、背中に翼が生えたような超感覚につつまれ、風を切ってゴールゲートをくぐる瞬間が訪れると。熱量を全部使い切って、フィールドの枯れた芝生の上で2時間くらいピクリとも動けなくなるほど消耗しつくす。箱根の選手たちのような命を切り刻むレースがきっとできると信じ、今シーズン全レース自爆を誓う。
□
【超長距離レースの誘い】
踏破距離200キロを超える超長距離レースのシーズンは、4月にはじまり5月と9月にピークを迎える。だいぶ先のことだと思っていたら、おっと!エントリーの時期に突入しつつあるではないか。「スパルタスロン」や「ウルトラ・トレイル・デュ・モンブラン」など日本でも著名なレースは参加枠や実績による選考もあり困難だが、他にも楽しそうな大会はある。今ならよりどりみどり、どのバカロードに足を踏み入れようか、悩ましくも喜ばしい状況である。
□川の道フットレース
知る人ぞ知る超長距離ロードレース。4月〜5月の黄金週間中に、東京湾から新潟県の日本海側まで522キロを制限135時間で走る。途中3カ所で休憩(仮眠や入浴ができる)を採ることが義務づけられているのがユニーク。
□本州縦断フットレース
青森駅前から下関駅前まで1521キロを制限540時間で走りきる。今年は5月〜6月に開催されたが、来年はランナー自身がスタート日を決めるという変則的なものになるみたい。
□トランスジャパンアルプスレース
日本海側の富山湾から太平洋岸の駿河湾まで、北ア・中央ア・南アと日本アルプスの主要な山岳地帯を8日間かけて踏破する425キロの究極トレイルランニング。参加者個人が主催者という位置づけ。山と長距離走のエキスパートだけが参加を許される世界最過酷と呼ぶべき大会。2年に1回開催。
□トランス・ヨーロッパ・フットレース
毎回コースは異なるが約5000キロを60〜70日かけて走破するロングジャーニー。公民館などで寝泊まりしながら、毎日平均70キロ前進。荷物30キロまでは大会側が次のチェックポイントまで搬送してくれ、簡単な食事も提供される。今年は4月〜6月にかけて開催され、イタリア南端の岬からノルウェー最北端の岬までの欧州縦断コースだった。アメリカ合衆国を東西に横断する「トランス・アメリカ・フットレース」が消滅した今、大陸横断系として最も食指をそそる大会である。
2009年12月03日
いま、電器店には日常生活をハッピーにしてくれる便利な機能がついた家電がたくさん! そんな「使ってみたい!お役立ちハッピー家電」を、電気店の方に教えていただきました!お米がうまうまに炊ける炊飯器やオシャレなマッサージチェア、アイロンいらずの洗濯機など、実際に使ってみたくなる家電がたくさん集まってます。
そして表紙の「ザ・徳島の平均値!」、今回は「買い置き編」。トイレットペーパー、電球、お菓子などなど、ふだん生活の中で使うもので買い置きしてあるものの数を調査!あなたのおうちには、どんなモノがいくつストックされていますか?
2009年11月27日
「手頃の値段でお腹いっぱい食べたい」「隠れ家的なとっておきのランチが知りたい」など様々な要望にお応えすべく、ランチグルメを大研究!徳島県内にあるイタリアン、中華、カフェ、寿司など多種多様なお店を徹底調査し、「これぞ!」という80店舗もの多種多様なメニューの情報をギチギチに詰め込みました。大満足間違いなしのランチガイド決定版です!
0909_CU部数推移.pdf
月刊タウン情報CU*9月号の実売部数を報告します。CU*9月号の売部数は、
6577部でした。詳しくは、上部のファイルをクリックしてください。
長らく雑誌の実売部数はシークレットとされてきました。雑誌は、その収益の多くを広告料収入に頼っているためです。実際の販売部数と大きくかけ離れ、数倍にも水増しされた「発行部数」を元に、広告料収入を得てきた経緯があります。
メディコムでは、その悪習を否定し、「月刊タウン情報CU*」「月刊タウン情報トクシマ」「結婚しちゃお!」の実売部数を創刊号以来、発表しつづけています。
2009年11月19日
そして表紙の「ザ・徳島の平均値!」、今回は「お風呂編」。1日の疲れをほっこり癒してくれるお風呂時間。湯船につかっている時間やシャンプーの数、そして、バスタオルを洗う頻度まで、お風呂にまつわるいろんな数を調査しました。
2009年11月14日
0910_タウトク部数推移.pdf
月刊タウン情報トクシマ10月号 実売部数を報告します。タウトク10月号の売部数は、
8031部でした。詳しくは、上部のファイルをクリックしてください。
メディコムは、「月刊タウン情報トクシマ」「月刊タウン情報CU*」「結婚しちゃお!」の実売部数を創刊号から発表しつづけています。
雑誌の実売部数を発行号ごとに速報として発表している出版社は、当社以外では日本には一社もありません。実売部数は、シェア占有率を算出し、媒体影響力をはかるうえで最も重要な数値です。他の一般的な業界と同様に、出版をなりわいとする業界でも正確な情報開示がなされるような動きがあるべきだと考えています。わたしたちの取り組みは小さな一歩ですが、いつかスタンダードなものになると信じています。
2009年11月13日
♥Xmaxs♥
豪華なイルミネーションやこの時期だけのイベント、
クリスマス特製ディナーにカフェのスペシャルメニュー…をご紹介!
12月24、25日までのカウントダウンを素敵に演出しちゃいます。
もちろん、おうち派の人にチキン、デリ、お酒情報もありますよ。
そして、クリスマスに向けてさらなる美を求める
すべての女性に送る『beauty issue』もご覧あれ〜
2009年11月08日
文=坂東良晃(タウトク編集人、1967生まれ。18〜21歳の頃、日本列島徒歩縦断、アフリカ大陸徒歩横断など約1万キロを踏破。男四十にして再びバカ道を歩む、か?)
【神宮外苑24時間チャレンジ】
「場ちがい」という体験をしたことがありましょうか。、「肩のこらないカジュアルなパーティです」と書かれた案内状を真に受けて普段着で会場に行ったら、全員がフォーマルスーツで決めていて「マジかよ!」と悪寒が背筋を貫くような、嬉しくないひとときです。
【神宮外苑24時間チャレンジ】
「場ちがい」という体験をしたことがありましょうか。、「肩のこらないカジュアルなパーティです」と書かれた案内状を真に受けて普段着で会場に行ったら、全員がフォーマルスーツで決めていて「マジかよ!」と悪寒が背筋を貫くような、嬉しくないひとときです。
「神宮外苑24時間チャレンジ」の会場にやる気満々、鼻息もバフバフはせ参じたぼくは、受付でもらった選手リストに目を落とすにつけ、自分の存在が完全に場ちがいであることを認めざるを得なくなり、急転直下のしょんぼりとしたムードに包まれた。リストには各ランナーの自己ベストタイムが併記されている。なんと、8割程度の選手がフルマラソンで2時間台、100キロマラソンで8時間台以内の実績がある。100キロ6時間台の鬼ランナーまでいる。フルマラソン3時間33分と書かれたぼくのプロフィールが名簿から完全に浮き上がり、逆に目立っているではないか。オオカミの集団にまぎれこんだ子羊か、あるいはヒクソン・グレイシー道場に殴り込み血祭りにあった安生洋二か。かなうならば植木等ばりに「およびでない・・・こりゃまた失礼しました〜」と舞台から引けて、一刻も早く徳島にUターンしたい気分である。恐る恐る控えテントに近づくと、全身にぜい肉のカケラも付着していない研ぎ澄まされた方々が、去年のスパルタスロンの話題で盛り上がっていらっしゃる。ちなみにスパルタスロンとは246キロを36時間以内に走る世界最高峰のウルトラマラソンの大会であり、ぼくがどう逆立ちしてもローラースケートを履いても完走すらおぼつかない偉大なる大会である。つまりスパルタスロンで上位に食い込むようなレベルの皆さんが、いまここに集結してらっしゃる。 (やっぱし、いのかな〜)と思いつつ、なるべく他人と目をあわさないように伏し目がちに着替えていると、1人の選手に話しかけられる。「徳島からいらしてるんでしょ? 同じ四国からですヨロシク!」という愛媛ご出身のランナーのお方。柔和な表情でリラックスした雰囲気。(あ、やっと仲間ができたかな)とひと安心したが、この方もスパルタスロンを完走され、ウルトラマラソンの優勝経験もある超A級ランナーと判明。「来年、スパルタ一緒に行きましょう!同じ宿で長期過ごすからランナー同士のつながりも強くなって、楽しいですよ!」と優しく誘っていただく言葉に、「もごもご」と歯切れ悪く返事する。(あのう、ごめんなさい。ぼくただの場ちがいな人です)と心でお詫びする。ふつうの市民ランナーなんて、この会場にいるわけないか、と再び落ち込みスタートラインにとぼとぼ歩く。
スタート5分前にランナー49人は公園周回路の歩道上に並ぶ。定刻9時に号砲。いきなり周りのランナーたちが猛スパートをはじめ、ぼくは置き去りにされる。ちょちょちょちょ、ちょっと待ってー!と追いすがる。先頭集団の入りは明らかにキロ3分台である。あのーみなさーん!今から24時間走るんですよね? じっくり入ったりしないわけですかぁ。それともそのペースでも抑えめですかぁ、と心で叫びながらついていき、取り残される羞恥心からぼくもキロ4分台で入ってしまう。明らかなるオーバーペース、「オマエはすでに終わっている」状態である。
それから30キロあたりまではキロ5分30秒ペースで走る。が、先頭集団に何度も周回遅れにされる。こっちだってサブフォーペースなんですけど一応・・・。彼らはまるで中距離走者みたいに速く、気持ちよいほどガンガンぶち抜いてくれる。もーどうでもいいや、走れるだけ走ろ、とふっ切れる。笑うくらいの実力差にすがすがしさを取り戻す。
50キロに達したのはスタートから6時間後。このままのペースを維持できれば200キロをマークできる計算だ(そんなわけないのだが)。先頭を行く選手は100キロを7時間台後半でカバー。24時間走のアジア最高記録(274キロ)を上まわるペースを刻んでいる。やがてにわかに天空かき曇り、東京名物のゲリラ豪雨状態に。小川のせせらぎの中をいくように、神宮外苑の舗道上をジャブジャブと靴を濡らし進む。
1.3キロの周回路をぐるんぐるんと24時間まわり続ける。そこには何かしら哲学的な意味あいが必要なのではないか、と思索する。天気のよい日にさわやかな高原や海辺の道をタッタカゆく、という理想的なランニングのイメージとは対極の位置にある競技会である。場所は都心部、コンクリート建造物の谷間。特に視線を向けるべき自然の造形もなく、かといって近未来的都市の景観があるわけでもない。同じ道をひたすら10周、20周、50周、100周と周回を重ねる。ましてや夜間ともなると、信号や街頭の灯り以外は目に映るものすらなくなる。心はおのずと内省的になる。
到達点のない距離と果てしない時間のなかで、ただ脚を前に出しつづける。遅いけれど少しは前進する。人間の生涯なんてそんなものではないかと思う。自分がある日フイに死んだとしても世の中はうまく回りつづける。今やっていることに重大な意味があると信じて、寝る間も惜しんで取り組んでいたとしても、自分がある日消失霧散したあとも、世界は変わらず同じ時を刻み続ける。他人にとって価値があるのかないのか不明な仕事に夢を抱き、目標をつくり、ひたすら走り続ける。自分が今どこを走っているのか、何のために走っているのかもわからず、全力で四肢をもがき、疲れ果ててトボトボ歩く。24時間というひたすら長い競技時間を、休むことなく、眠ることもなく、湿気った重い空気をかきわけ走る。そういう行為こそ、人生を例えるにふさわしい営みなんではないかと思うのだ。
草木も地下鉄も眠る深夜、遅れてきたランナーズハイに突入する。出だしの頃は、「フルマラソン1回分走ったのに残り20時間もあるんだよね」「10時間走ったけど、24時間から10時間引いたら14時間(暗算があまりできなくなる)。あと14時間ってけっこう長いよね」などと当たり散らせない思いを噛みしめていたが、12時間つまり半分を超えてからはお気楽さが充満してきた。「あとたったの8時間しか走らせてもらえないのか、さみしいもんだね」なんてメランコリックにもなる。自分の能力では抗しがたき状況に晒されると、流れに身を任せるしかない。先のことはともかく、今この瞬間にやれるだけのことをやろう、との刹那的ポジティブマインド。びしょ濡れのナメクジの歩みのようにヌラヌラと、荷役ロバのようにヒヒヒンと笑って。
夜が明けると見物のお客さんが増え、孤独なムードは華やいだものに変わる。見ず知らずのぼくにも沿道の左右から応援の声がかかる。引きずっていた脚から痛みが消え、正しいストライドに戻る。徐々にスピードが増し、最後の1周は心臓も壊れちまえのペース、キロ4分台。何十周と追い抜かれたトップクラスの選手をはじめて追い越す。なんだまだ限界じゃなかったんじゃねーの。まだまだ走れるじゃないか。
結果は139キロ。49人中27位。どうなんだろね、微妙だね。
優勝した井上真悟選手は29歳。大雨の悪コンディションの中、今シーズン世界最高記録の258キロをマークした。背筋をピンと伸ばした孤高の走りは背後から見ていても心洗われた。超長距離走のジャンルで、まさに世界のトップに立つ人物だ。ふだんはジュニア陸上クラブの指導はじめ様々な社会貢献活動に勤しむ素晴らしい好青年である。共通の知人がいたため、フィニッシュ後にお話ができた。自己紹介すると、ぼくのことを知っていてくれた。「あ!サハラマラソンで下ネタばかりしゃべっていたという方ですね」・・・嗚呼、若き王者の歩む道との何たる遠さよ!
【信越五岳トレイルランニングレース100km】
「神宮24時間チャレンジ」と2週連続の100キロ級レースである。大会2日前にして、疲れがまったく脱けない。これは歳か、アラフォーの性か。凡人たるオッサンがアスリートのマネごとをしている報いか。スーパー銭湯でマッサージ椅子にもみしだかれても、狂ったようにサウナと水風呂を往復してもダメ。ついにはケミカル頼み、ユンケルとリポDゴールドを2日間で20本ガブ飲みしたが、飲み過ぎは当然身体によくありませんな。お小水が黄金色に輝くばかり。
信越五岳トレイルランニングレースは、トレイルラン文化を日本に根付かせようと精力的に活動しているトレイルランナー・石川弘樹さんがプロデュースする大会であり、今までにない先進的な思想が導入されている。元来、孤独でストイックな山岳レースのイメージが強い日本のトレイルランの大会に対し、信越五岳トレイルは家族や友人が応援できるポイントをいくつも設けたり、ラスト34キロを「ペーサー」と呼ばれる仲間の併走を認めるなど、ランナーとランナーを支える人たちが一体となってレースを作りあげる。全8カ所もあるエイドの充実も珍しい。たとえば国内最高峰の大会であるハセツネ(日本山岳耐久レース)のエイド1カ所とは、大きく異なる。ハセツネは登山家を鍛える目的で始められた山岳レースだから、途中補給なんて考えは主旨に一致しない。頂上を落とす最終アタック隊を横から助けてくれる場面なんてないですからね。対して信越五岳トレイルは、石川弘樹さんが長期遠征したアメリカや世界各地での経験を元に、誰もが市民マラソンのような気軽な感覚で森や山のトレイルロードを楽しく駆ける、というライフスタイルを競技に取り入れたものだ。
拠点となる長野市へは徳島からだとアクセス不便に感じるが、高速バス1本で行ける新神戸駅から新幹線で名古屋駅、特急しなの号に乗り換えて長野駅へ、とタイミングよく乗り継げば6時間。JR長野駅前には主催者が用意した無料バスが待機し、1時間かけてスタートの斑尾(まだらお)高原へ運んでくれる。地元市民や自治体とトレイルランナーの協働という観点から、大会前後は地元の宿泊施設での滞在が義務づけられる。参加者からの異論も少しはあったが、今どきの厳しい財政状況のなか地元自治体や商工会らが人を出し、準備に汗を流し、予算も捻出して走らせてくれるのだから、「お金は落としたくないけど支援だけしてくれ」というのは虫が良すぎる。その恩義の大きさにふさわしいお返しはできないが、せめて宿代、食事代、土産代くらいは経済貢献するとしよう。
夜がしらじらと明け始めた午前5時30分がスタート時間。初開催の大会だけあってランナーのお祭りムードも最高潮だ。前夜のパーティー会場では「100キロという旅を楽しんで」と説明してくれた石川選手が、ランナーたちの浮かれ気分がシリアスさに欠けると判断したか、スタート台から拡声器で「これはレースですよー!周りとの戦い、自分との戦いでーす!」と引き締めにやっきになっていたのが微笑ましい。
走りだしの高原ロードは細かなアップダウンの繰り返し。驚いたのは足元の柔らかさ。樹木の堆積物からなる土面や、走路を覆う芝草によって脚への衝撃が少ない。まさにフカフカの雲上を走る気分なのである。ガレ場やぬかるみが当然のトレイルレースにあって快適すぎるサプライズだ。コースは、しだいに深い森の中へとランナーを誘う。左右に蛇行するシングルトラックの細いトレイル。木立がぐんぐん迫ってきては後方へと流れていく。開けたアスファルト道では味わえないスピード感に心躍る。走っている間は、あまり複雑なことは考えない。だから、山を走るってのはこんなに気持ちのいいものなんだと、すなおに感動する。
新潟と長野にまたがる5つの山岳地帯を結んで設計されたコースは、更にさまざまな局面を用意してくれていた。ダブルトラックの走りやすい林道、木の根が縦横に張りだした急峻な登りや下り、瀑音とどろく河川を眼下に伸びる土手道、満開のコスモス畑、牛が草をはむ牧場地帯、湿地帯の木道、そして神秘的な戸隠神社の境内へ・・・。つぎつぎとタイプの異なる道が現れては、回転舞台が転換するように目を楽しませ、適切な走りのテクニックを要求する。飽きることのない仕掛けに笑いが込み上げてくる。やー、バカみたいに楽しいなこりゃ。
ラスト10キロは標高1840メートルの峠へと続く飯綱山への登り。登山道に取り付いたのは深夜12時、制限時間まで4時間を残しての10キロである。最後の最後に最高の美肉を用意してくれたものじゃ!などと余裕をかましていたら、次第に霧が深くたちこめヘッドランプの光が映し出すのは乳白色の空気ばかりで足元おぼつかず。険しい登山道は半ロッククライミング状態となり、吹きつける雨に木の根も岩もアイスバーンのごとく滑る。10分に1回ペースですっ転んではケツも腰も打ちまくり。最後に何たる仕打ちじゃ〜と半泣き&全身ドロまみれになって4時間近くもがき苦しんで山を脱する。ラスト2.6キロは平坦な林道、足も折れんばかりにキロ4分ペースの猛ダッシュを試みた。神宮外苑24時間走に続いての「なんだまだ限界じゃねーのラストスパート」である。しかし、22時間の制限時間にどう計算しても2分届かない。22時間も走ったのに公式記録上はDNF(did not finish)なんだよね〜ガックシ。
制限時間オーバーゆえにてっきりフィニッシュ会場も撤収準備に入っているだろうと思い最後の角を曲がると、何ということでしょう! 多くの先着ランナーたちが花道をつくって待っていてくれた。「おかえりなさい!」「ナイスラン!」と声がかかる。そしてフィニッシュゲートの真正面に少女漫画の主人公ばりのキラキラ笑顔で立っているのは、かの石川弘樹選手(34歳・美形)ではないか。背景に薔薇の花びらが舞ってますよ! うひょー、最高のクライマックスだね。ぼくがミーハー女子ならこのまま彼の胸の中に顔をうずめて、ぽっぺをスリスリしちゃうトコだね。
しかし自分はオッサンであるという自覚を胸に、自制に努める。石川選手に「来年もぜひ来てください!」と声をかけてもらい、がっちりアスリートっぽく握手を交わす。当代きっての美青年カリスマランナーと、当代きってのバカランナーの人生がここで初めて電撃的にクロスし、化学反応を起こし激しくスパークしあったわけだ!(単に握手してもらっただけです)
撤収作業のはじまった会場を眺めているうちに、徐々に我に返る。全身ドロまみれのボロ雑巾。どこもかしこも痛くて動くたびに悲鳴をあげそうだ。だけど気分はすがすがしい。2週つづけての100キロレース。ハンガーノック状態で悶え苦しむのは望みどおりの沙汰だ。大都会のド真ん中や、大自然のド真ん中を、理屈・屁理屈はさておき、ひたすら猛進する。それぞれのカテゴリーに若き超一流の選手がいて、競技者としての強いハートと高い社会的使命を背負った、輝かしい姿を目の当たりにした。そして、それぞれのカテゴリーにおいて超五流のぼくは、今日もまた地味にエントリー料を振り込み、大会案内がポストに入っているだけで一日幸せ気分になり、過酷なレースの最後尾をよろよろ走りつづける。美しくもなく、栄光もなく、寝不足気味のスカンピンで。
2009年11月05日
今回の特集は、そんなご家庭の皆さんにぴったりな「子ども連れでもOK!家族で楽しめるお店」。年齢問わず家族みんなでわいわい・ゆったり楽しめるカフェやレストラン、焼肉店や居酒屋などをご紹介します。
そして表紙の「ザ・徳島の平均値!」、今回は「食卓編」。1カ月にお味噌汁を飲む回数、お鍋が食卓に登場する回数など、 徳島の食卓のスタンダードを発表。なんと、お鍋は平均○日に1回は食卓に登場しているみたいですよ。
2009年10月28日
うどん、定食、スイーツなどなど徳島の旨いもんは数知れず・・・。そんな中、「お昼はここって決めとんよ」「ほんまは秘密にしときたいんやけどな」という、各地域の役場の方や道行く人から情報を頼りに突き止めた、「ほんまにおいしい店」を一挙公開!
★OJ3(おじさまグランプリ)2009★
10代、20代の若者にはない人生の深みや色気を持つ77人のおじさまをご紹介! 酸いも甘いも知り尽くしたおじさまに人生の極意を学びましょう♪
結婚しちゃお!は徳島県内の書店・コンビニで発売中。1冊280円。
2009年10月15日
そして表紙の「ザ・徳島の平均値!」今回のテーマはビューティー。 スキンケア、メイク、そしてダイエット…! 美しくなるために欠かせない、毎日の努力の積み重ね。あなたはどのくらい時間をかけていますか?
2009年10月10日
0909_タウトク部数推移.pdf
月刊タウン情報トクシマ9月号 実売部数を報告します。タウトク9月号の売部数は、
9381部でした。詳しくは、上部のファイルをクリックしてください。
メディコムは、「月刊タウン情報トクシマ」「月刊タウン情報CU*」「結婚しちゃお!」の実売部数を創刊号から発表しつづけています。
雑誌の実売部数を発行号ごとに速報として発表している出版社は、当社以外では日本には一社もありません。実売部数は、シェア占有率を算出し、媒体影響力をはかるうえで最も重要な数値です。他の一般的な業界と同様に、出版をなりわいとする業界でも正確な情報開示がなされるような動きがあるべきだと考えています。わたしたちの取り組みは小さな一歩ですが、いつかスタンダードなものになると信じています。
結婚しちゃお!夏号 実売部数報告です。
結婚しちゃお!夏号の売部数は、
983部でした。
詳しくは、上部のファイルをクリックしてください。
メディコムでは、自社制作している
「月刊タウン情報トクシマ」「月刊タウン情報CU*」「結婚しちゃお!」の実売部数を発表しております。
0908_CU部数推移.pdf
月刊タウン情報CU*8月号の実売部数を報告します。CU*8月号の売部数は、
6638部でした。詳しくは、上部のファイルをクリックしてください。
長らく雑誌の実売部数はシークレットとされてきました。雑誌は、その収益の多くを広告料収入に頼っているためです。実際の販売部数と大きくかけ離れ、数倍にも水増しされた「発行部数」を元に、広告料収入を得てきた経緯があります。
メディコムでは、その悪習を否定し、「月刊タウン情報CU*」「月刊タウン情報トクシマ」「結婚しちゃお!」の実売部数を創刊号以来、発表しつづけています。
2009年10月08日
文=坂東良晃(タウトク編集人、1967生まれ。18〜21歳の頃、日本列島徒歩縦断、アフリカ大陸徒歩横断など約1万キロを踏破。男四十にして再びバカ道を歩む、か?)
強くなるためにはどうしたらいい?と男なら生涯に10回は考える。そして実際に強くなろうと努力したことも2へんくらいはある。矢吹丈がノーガード戦法を披露すると、教室の後ろでツレ相手に両腕をだらりと下げ「どこからでも打ってこいや」とアゴをつきだし、そのままストレートを鼻っ柱にくらって涙するバカ。
強くなるためにはどうしたらいい?と男なら生涯に10回は考える。そして実際に強くなろうと努力したことも2へんくらいはある。矢吹丈がノーガード戦法を披露すると、教室の後ろでツレ相手に両腕をだらりと下げ「どこからでも打ってこいや」とアゴをつきだし、そのままストレートを鼻っ柱にくらって涙するバカ。
「侍ジャンアンツ」番場蛮のハイジャンプ魔球をわが物とするために片足スクワット100回を課してこむら返りをおこすアホウ。ジャッキー・チェンが老師に鍛えられるシーンを好み、鉄棒に逆さまにぶら下がり腹筋しようとして首から落ちて意識を失うトンマ。ロッキー・バルボアがお馴染みテーマソングにのって片手腕立て伏せを左右交互におこなえば、翌日の部活前にはみな片手腕立て伏せをやっている単細胞。
こうやって男は、規格外のトレーニングによって自身の肉体がハガネのように強靱に鍛えられていく・・・なんて奇跡はわが身には決して起こらないと薄々気づいた頃に大人になる。
強さへの渇望、無敵の存在への憧憬をいつか失くしたまま幾年月が流れたか。今、ぼくは再び強くなろうとしている。プロレスの業界用語で「トンパチ」ってのがある。常識はずれの大暴走、シッチャカメッチャカな行動をするレスラーを指す隠語だ。日々これ無事に生きることに価値があると信じて数十年。そんなぼくの脳みそが、どーしようもないトンパチ菌に侵略されている。これは悪い病気だ。「強くなれるなら、どんなことでもやってやるぞオラーッ」ってチョーノみたいに毎朝、紀伊水道に昇る朝日に向かって叫んでいるわけだ。どこまで走っても倒れないタフネス、何万キロカロリー消費して、身体がバラバラに千切れるくらい痛くてもタップしない強さだ。
今年の大一番である「神宮外苑24時間チャレンジ」が目の前に迫っている。この大会は、日本で唯一の24時間走のIAU(国際ウルトラランナーズ協会)公認大会であり、2010年5月にフランスで行われる「IAU 24時間走ワールドチャレンジ」の日本代表選考会でもあるのだ。要するに、日本中からウルトラマラソンの超人たちが
集まり、日本代表の座を競うのだ。代表選手を決定する過程は厳密に定められてるんだけど、はしょって説明すれば、24時間で220キロ以上走れば選ばれる可能性が高い。
朝9時にスタートし、翌朝9時まで不眠不休。食ったまま走り、寝たまま走り、1キロ平均6分ペースで立ち止まらずに走り続けられたランナーが日本代表の栄冠を手にする。トップクラスの選手はフルマラソン2時間20〜30分台の記録を持ち、練習量も月間800キロ〜1000キロとスケールが違う。その怪物ランナーたちの末席に加えてもらった凡人ランナー1名がぼくである。しかし一本のスタートラインに等しく並び、気の遠くなるほど長丁場の戦いに挑むって点では同じ。必死の覚悟で挑むのだ。しかし「必死」って言葉はすごいね。必ず死ぬ、って書くんだもんね。人はよく「必死にやります」って言うけど「必ず死んでやります」って宣言してるんだよね、サムライ・スピリッツだね。
この夏は、「神宮外苑24時間チャレンジ」に向けてわがチキンハートをハガネに鍛え直すため、毎週のように大会に出まくった。
【やれやれな神戸24時間マラソン】 神戸総合運動公園内の一周2キロの周回路を24時間走る大会。浴衣姿でいちゃつくカップルの群れのなかをつっ走り、滝がごとしのゲリラ豪雨に打たれて新品のミュージックプレーヤーを犠牲にする。この果てしなき孤高感、エレファントカシマシの「明日に向かって走れ」を熱唱せざるをえない。70キロ走ったころ公園の道は激雨で濁流と化し、走行困難となって大会中止。控室テント(
といってもブルーシート1枚張ってるだけ)が吹っ飛ばされないようシートを棒で押さえつづけた真夜中午前3時。神戸まで来てぼくは何やってんだろう、やれやれ。と村上春樹なら文末に記すと思われる。
【ヒーローになれるトライアスロン中島大会】 「中島」は愛媛県松山市の三津浜港からフェリーで1時間の瀬戸内の島。選手500人ほぼ全員が前日から島に入り、民家にホームステイしたり公民館に宿泊する。ぼくは公民館にザコ寝したが、清潔なシーツと布団が用意され、中学校の寮の浴室(ピンク色した女子浴室)も貸してくれた。前夜祭では食べきれないほどの料理が振る舞われる。炭水化物メシのみならず刺身やサザエと海の幸も満載、ビール飲み放題。「みかんとトライアスロンの島」とうたい24年もの歴史を経た大会だけあって、島民の意気込みは並々ならぬもの。島出身の選手によると、島の子どもたちは物心ついた頃からトライアスロンを見て育ち、幼き彼らにとってトライアスリートはスーパーヒーローなんだとか。そんな心温まる談話を聞いたもんだから、沿道の子どもたちの前を走るときは、劇画ヒーローのような男前の顔をしようと努力。爽やかに片手をあげ「やーどうも、ボクたち、ありがとう」なんて挨拶をバイクとランの間じゅうやってたもんだから、通常の倍ヘバった。
【ぐでんぐでんの北海道マラソン】 今シーズン初のフルマラソンは、前夜に焼酎1ボトルをストレートで飲み干すという暴挙を犯し自滅。当日の朝、目覚めると体中からアルコール臭漂っている。こりゃマズい、いざアルコールを抜かん!と籠もったサウナ30分が更に災い。水分・塩分両方抜けたため20キロで両脚が攣り、泣きたい気分になり、いっそ泣いて同情を買おうと涙腺を拡げてみたが絞り出す水分もなく、ただ変な顔をして走った。枯れ果てフィニッシュ3時間49分。反省、二度とこんな愚挙はしません。
【野獣走の眉山】 眉山の山中を獣のように走る。ひたすら走る。眉山はトレイル練習の最高のゲレンデ。すぐ山に取りつけて、いきなりシングルトラックの山道に入り、快適なアップダウンがある。特に徳島市名東町の地蔵院から阿波おどり会館までの東西眉山横断コースの往復は、2時間ほどの追い込みに最適だ。痩せた尾根上の縦走路は、北に佐古、南に八万の街並みを見下ろす格好で「徳島の屋根を走ってる」って気分にさせてくれる。登山者優先を大原則としつつ、ビュンビュン飛ばせて心肺に刺激入れを行える理想の道である。
【詩人になれる田宮】 徳島市陸上競技場は市民ランナーの練習場として最適。学生が練習していない時間帯ならトラックを独り占めして、使用料は100円ポッキリ。今どき100円でできるレジャーなんて馬券、舟券1枚分。4円パチンコ球なら25個。それぞれ一瞬で露と化す。かたや陸上競技場に100円払えばイヤってほど遊べるのだ。観客も選手もいない競技場を疾走する切なさはユーミンの「ノーサイド」的哀愁に満ちており、これ読んでるあなたが詩人なら名曲のひとつも紬ぎ出せるはず。あいにく才能に乏しいぼくは、無人のトラックをドタドタ走り、芝生の観客席に仰向けに倒れて、ガス欠になった2009とくしまマラソンを思い出して後悔の涙をほろほろ流すだけ。
□
8月の月間走行距離は500キロ。劇画的イマージュの世界では今ごろサイボーグ並みの強い心臓と脚力を手にしているはずだが、走れば走るほどに疲労蓄積、筋肉崩壊、骨密度低下、寝ちがえ筋ちがえは日常茶飯。中年男子の本性があばき出されるばかり。本気度100パーセントの「神宮外苑24時間チャレンジ」まであと1週間。はたして矢吹丈のように真っ白な灰になり、番場蛮のオヤジがごとく鯨の腹を突き破って生き伸び、トンパチ王・橋本真也が叫んだ「小川、俺ごと刈れ!」ほどの生命の熱量を発生させられるだろーか?する!
こうやって男は、規格外のトレーニングによって自身の肉体がハガネのように強靱に鍛えられていく・・・なんて奇跡はわが身には決して起こらないと薄々気づいた頃に大人になる。
強さへの渇望、無敵の存在への憧憬をいつか失くしたまま幾年月が流れたか。今、ぼくは再び強くなろうとしている。プロレスの業界用語で「トンパチ」ってのがある。常識はずれの大暴走、シッチャカメッチャカな行動をするレスラーを指す隠語だ。日々これ無事に生きることに価値があると信じて数十年。そんなぼくの脳みそが、どーしようもないトンパチ菌に侵略されている。これは悪い病気だ。「強くなれるなら、どんなことでもやってやるぞオラーッ」ってチョーノみたいに毎朝、紀伊水道に昇る朝日に向かって叫んでいるわけだ。どこまで走っても倒れないタフネス、何万キロカロリー消費して、身体がバラバラに千切れるくらい痛くてもタップしない強さだ。
今年の大一番である「神宮外苑24時間チャレンジ」が目の前に迫っている。この大会は、日本で唯一の24時間走のIAU(国際ウルトラランナーズ協会)公認大会であり、2010年5月にフランスで行われる「IAU 24時間走ワールドチャレンジ」の日本代表選考会でもあるのだ。要するに、日本中からウルトラマラソンの超人たちが
集まり、日本代表の座を競うのだ。代表選手を決定する過程は厳密に定められてるんだけど、はしょって説明すれば、24時間で220キロ以上走れば選ばれる可能性が高い。
朝9時にスタートし、翌朝9時まで不眠不休。食ったまま走り、寝たまま走り、1キロ平均6分ペースで立ち止まらずに走り続けられたランナーが日本代表の栄冠を手にする。トップクラスの選手はフルマラソン2時間20〜30分台の記録を持ち、練習量も月間800キロ〜1000キロとスケールが違う。その怪物ランナーたちの末席に加えてもらった凡人ランナー1名がぼくである。しかし一本のスタートラインに等しく並び、気の遠くなるほど長丁場の戦いに挑むって点では同じ。必死の覚悟で挑むのだ。しかし「必死」って言葉はすごいね。必ず死ぬ、って書くんだもんね。人はよく「必死にやります」って言うけど「必ず死んでやります」って宣言してるんだよね、サムライ・スピリッツだね。
この夏は、「神宮外苑24時間チャレンジ」に向けてわがチキンハートをハガネに鍛え直すため、毎週のように大会に出まくった。
【やれやれな神戸24時間マラソン】 神戸総合運動公園内の一周2キロの周回路を24時間走る大会。浴衣姿でいちゃつくカップルの群れのなかをつっ走り、滝がごとしのゲリラ豪雨に打たれて新品のミュージックプレーヤーを犠牲にする。この果てしなき孤高感、エレファントカシマシの「明日に向かって走れ」を熱唱せざるをえない。70キロ走ったころ公園の道は激雨で濁流と化し、走行困難となって大会中止。控室テント(
といってもブルーシート1枚張ってるだけ)が吹っ飛ばされないようシートを棒で押さえつづけた真夜中午前3時。神戸まで来てぼくは何やってんだろう、やれやれ。と村上春樹なら文末に記すと思われる。
【ヒーローになれるトライアスロン中島大会】 「中島」は愛媛県松山市の三津浜港からフェリーで1時間の瀬戸内の島。選手500人ほぼ全員が前日から島に入り、民家にホームステイしたり公民館に宿泊する。ぼくは公民館にザコ寝したが、清潔なシーツと布団が用意され、中学校の寮の浴室(ピンク色した女子浴室)も貸してくれた。前夜祭では食べきれないほどの料理が振る舞われる。炭水化物メシのみならず刺身やサザエと海の幸も満載、ビール飲み放題。「みかんとトライアスロンの島」とうたい24年もの歴史を経た大会だけあって、島民の意気込みは並々ならぬもの。島出身の選手によると、島の子どもたちは物心ついた頃からトライアスロンを見て育ち、幼き彼らにとってトライアスリートはスーパーヒーローなんだとか。そんな心温まる談話を聞いたもんだから、沿道の子どもたちの前を走るときは、劇画ヒーローのような男前の顔をしようと努力。爽やかに片手をあげ「やーどうも、ボクたち、ありがとう」なんて挨拶をバイクとランの間じゅうやってたもんだから、通常の倍ヘバった。
【ぐでんぐでんの北海道マラソン】 今シーズン初のフルマラソンは、前夜に焼酎1ボトルをストレートで飲み干すという暴挙を犯し自滅。当日の朝、目覚めると体中からアルコール臭漂っている。こりゃマズい、いざアルコールを抜かん!と籠もったサウナ30分が更に災い。水分・塩分両方抜けたため20キロで両脚が攣り、泣きたい気分になり、いっそ泣いて同情を買おうと涙腺を拡げてみたが絞り出す水分もなく、ただ変な顔をして走った。枯れ果てフィニッシュ3時間49分。反省、二度とこんな愚挙はしません。
【野獣走の眉山】 眉山の山中を獣のように走る。ひたすら走る。眉山はトレイル練習の最高のゲレンデ。すぐ山に取りつけて、いきなりシングルトラックの山道に入り、快適なアップダウンがある。特に徳島市名東町の地蔵院から阿波おどり会館までの東西眉山横断コースの往復は、2時間ほどの追い込みに最適だ。痩せた尾根上の縦走路は、北に佐古、南に八万の街並みを見下ろす格好で「徳島の屋根を走ってる」って気分にさせてくれる。登山者優先を大原則としつつ、ビュンビュン飛ばせて心肺に刺激入れを行える理想の道である。
【詩人になれる田宮】 徳島市陸上競技場は市民ランナーの練習場として最適。学生が練習していない時間帯ならトラックを独り占めして、使用料は100円ポッキリ。今どき100円でできるレジャーなんて馬券、舟券1枚分。4円パチンコ球なら25個。それぞれ一瞬で露と化す。かたや陸上競技場に100円払えばイヤってほど遊べるのだ。観客も選手もいない競技場を疾走する切なさはユーミンの「ノーサイド」的哀愁に満ちており、これ読んでるあなたが詩人なら名曲のひとつも紬ぎ出せるはず。あいにく才能に乏しいぼくは、無人のトラックをドタドタ走り、芝生の観客席に仰向けに倒れて、ガス欠になった2009とくしまマラソンを思い出して後悔の涙をほろほろ流すだけ。
□
8月の月間走行距離は500キロ。劇画的イマージュの世界では今ごろサイボーグ並みの強い心臓と脚力を手にしているはずだが、走れば走るほどに疲労蓄積、筋肉崩壊、骨密度低下、寝ちがえ筋ちがえは日常茶飯。中年男子の本性があばき出されるばかり。本気度100パーセントの「神宮外苑24時間チャレンジ」まであと1週間。はたして矢吹丈のように真っ白な灰になり、番場蛮のオヤジがごとく鯨の腹を突き破って生き伸び、トンパチ王・橋本真也が叫んだ「小川、俺ごと刈れ!」ほどの生命の熱量を発生させられるだろーか?する!
2009年10月05日
女性目線で徳島の最新ニュースをキャッチする
CUの最新号は…
☆第1特集☆
「秋のおいしい店」
海の幸に山の幸、食べ物のおいしさがピークを迎えるこの季節だからこそ、
秋の味覚を食べつくさなきゃ、損、損っ!
ボルチーニ茸たっぷり秋パスタ、もくず蟹のあったかリゾット、
秋刀魚の炙り押し寿司etc...
思わずよだれが出ちゃう一品が勢揃い!
さらに…
2009年10月01日
そして、表紙で連載中の「数字から探る、徳島のスタンダード ザ・徳島の平均値!」。今回は持ち物についてのスタンダードを調査。
あなたのカバンの中身や財布の中身には、どんなものがいくつくらい入っていますか…?